コラム/2021-07-09
希死念慮にも2種類ある?
<前回からの続き>
前回お書きした通り、私の推測では「うつ」には
①
「N」「(ノル)アドレナリンシステム」
(=恐怖・不安・怒り・行動化)」
→「S」「セロトニンシステム」
(=安心・安定・幸せ・満足・繋がり・所属と愛の欲求)
のシステムが優位なタイプと
②
「N」「(ノル)アドレナリンシステム」
(=恐怖・不安・怒り・行動化)」
→「D」「ドーパミンシステム」
(=快の刺激・承認、優越感等の報酬)
のシステムが優位なタイプの、
2種類が存在しているのでは?と考えます。
その考え方を基に
「うつ」によくみられる「希死念慮」(繰り返し”死にたい”と考えてしまう事)
について考察しますと、
私はこの「希死念慮」にも大別すれば2種類あると考えます。
即ち、
①「N」→「S」タイプの人の希死念慮
と
②「N」→「D」タイプの人の希死念慮
の2種類です。
まず、
「N」→「S」タイプの人は一言で申しますと、
「不快刺激を避けて安心を求める傾向」が強いと考えられます。
ですから、
ストレスや悩み・不安という「不快刺激」を避ける究極の選択肢が
「死ぬ事」になってしまうのではないでしょうか?
だとすれば、
(「S」を増やす)抗うつ薬は有効であると思われます。
一方、
「N」→「D」タイプの人は、「刺激が無い状態(退屈)が嫌で、
常に快の刺激、新奇な刺激を求める傾向」が強いと考えられます。
ですから、
刺激が満たされずに退屈し、文字通り「生きていても何も面白い事が無い」
といった思考に囚われた時の究極の選択肢が「死」という刺激に満ちた
未知の冒険になってしまうのかも知れません。
実際、
抗うつ薬を服用すると、一時的に希死念慮が高まるといった報告
もなされている様です。
それは恐らく
「N」→「D」タイプの人が抗うつ薬を服用すれば、
「S」が増える事によって「D」が抑えられてしまう。
→より「D」への渇望が生じる
→それが限界に達すれば「D」を求めて衝動的に「死」へと突き進んでしまう、
という事なのかも知れません。
(芸能人等の自死報道で「あの人が自殺するなんて?!・・・」と
思われる様なアクティブで明るいイメージの人もこのタイプの人
なのかも知れません)
それでは次回は「強迫性障害のメカニズム」について
お書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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