コラム/2021-07-19
強迫性障害(OCD)の活用~一流アスリートを例に
<前回からの続き>
前回、OCDの人は
不安・恐怖(強迫観念)→それを避ける為の行動(強迫行為)
→得られる報酬(快の刺激)といったパターンが固定化され、
それを繰り返す為にそのパターンが強化され、
どんどん悪循環に陥ってしまうと言えると思う。
そしてその悪循環から脱するには、その行動を採らせる「不安・恐怖」
や「報酬」の方向性を変えてゆく事が必要だと思う、とお書きしました。
今回は、そういったOCD的な傾向を活用していると思われる
(あくまで私の勝手な想像です)野球のイチロー選手と
フィギュアスケートの羽生選手の例を取り上げてみたいと思います。
現役時代のイチロー選手も羽生選手も、
「このままヒットが打てなくなったらどうしようか?」
とか
「自分の納得がゆく完璧な演技ができなかったらどうしようか?」
等といった強い不安と、
その不安を回避する為の「努力・練習・ルーティーン」
といった強いこだわりに基づいた回避行動と、
「自分が決めたゴールを達成したい」という強い「D」システム
を有していると感じます。
即ち、私なりの想像に基づいて定義した
①易刺激性(感覚過敏)を有している
②こだわりの強さを有している
③「N」→「S」システム優位型で、しかも強い「D」システムを有している
といったOCDの人の特徴的な傾向を持っていると考えられます。
だとすれば何故彼らは成功し(幸せで)、
一方OCDの人は苦しんでいるのでしょうか?
私が思うにそれは「報酬の方向性」が違うからではないでしょうか?
というのは、OCDの人の”報酬”は
「汚染されたくない、人を汚染したくない」
「失敗したくない、間違えたくない」
「誰かを傷つけたくない、大切な人を殺めたくない」
等といった消極的な意味合いが多く、
それを達成しても喜びや達成感、幸せを直接的には感じにくい事柄である
と思われます。
ところが、イチロー選手や羽生選手にとっての”報酬”は
「全打席でヒットを打つ」とか「100点満点の完璧な演技をする」
等といった、
それを達成すれば大きな喜びや達成感、ひいては自身の幸せ(=D)
に直接結びついている点が異なると思います。
ですから私は、
前回お書きした様に、ご自分にとって大きな喜びや達成感・幸せ(=D)
といった(今とは違う)”報酬”を強く意識する事が大切だと思います。
そしてその”新しい報酬”を妨げる事に対して、こだわりを持った回避行動
を続ける事によって、その達成に近づいてゆくのだと思います。
※強迫性障害(OCD)の克服は、独力では難しい部分もありますので、
お困りの方はお気軽にお問い合わせください。
コメント