コラム/2021-08-23
何故自傷行為をするのか?~原因と目的(下)
<前回からの続き>
前回、
自傷行為や抜毛症、オーバードーズ、自殺念慮等に
取りつかれてしまっている人は
「①」強い刺激と「②」神経伝達物質の分泌を強く望んでいるから
ではないか?といった私見をお書きしました。
もしそうだとすれば、何故それを望むのでしょうか?
その目的を私なりの推測でお書きしたいと思います。
<自傷行為(リストカット等)、オーバードーズ、
自殺念慮(企図)、抜毛症等の原因と目的(下)>
③今ある恐怖・不安・苦痛を感じずに済む
今ある不安や悩み・苦痛を上回る様な強い刺激、
或いはそれに代わる別の刺激をもたらす事で、
今ある不安・悩み・苦痛から離れる事ができると考えられます。
たとえば、
「あの人に嫌われたらどうしよう?」といつも悩んでいた学生が、
部屋のカーテンが揺れるのを見て「え?!誰かいるの?!キャ~・・・」
と強い恐怖を感じたらそちらの恐怖の方が勝ってしまうでしょう。
また例えば、
いつも胃のちくちくした痛みを感じてた人が
突然強烈な頭痛に襲われると、胃の痛みなんか吹っ飛んでしまうでしょう。
加えて、
新しい恐怖や痛みを感じる事によって神経伝達物質が分泌され、
心の安定や痛みの緩和、多幸感・快感を得られるのかも知れません。
※前述の抜毛症と思しき「B子さん」の例は
このタイプに当てはまると思います。
④刺激不足による退屈さや虚しさを感じずに済む
(持って生まれて)刺激追究・新規探求の傾向が強い好奇心旺盛の人にとっては
「退屈」や「変化(刺激)の無い日常」は辛い事だと思います。
そこで、
自傷行為やオーバードーズ、自殺念慮(企図)等によって
ドラマチックな刺激を用意しようとするかも知れません。
加えて、
その行動を採る事によって、ノルアドレナリン(やる気)、
ドーパミン(快感)、内因性オピオイド(痛みの緩和+多幸感)
といった神経伝達物質が分泌され、
「すっきり感」「気持ちよさ」「ワクワク感」等の”快の刺激”
が得られる訳です。
そうなると勿論「退屈」や「空虚感」は吹っ飛ぶでしょう。
但し、
”快の刺激”(報酬系)に纏わる神経伝達物質は麻薬と同様に
それを求め続ける事をやめられない、という依存的な状態に陥る危険性が
あると思います。
(「リスカ依存」「OD依存」「抜毛依存」とも言えるかも知れません)
※前述のリストカットを繰り返す「A子さん」の例は
このタイプに当てはまると思います。
それでは、
どうすればリストカット(自傷行為)や抜毛症、オーバードーズ、
自殺念慮(企図)をやめる事ができるのでしょうか?
そのヒントを次回お書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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