コラム/2021-10-25
何故根に持つのか?相手に執着するのか?
<前回からの続き>
例「あいつの事、絶対に許さない!」と何年も前の事を根に持って
何年後かに復讐を遂げる人・・・。
先日も大学時代のサークルの後輩を襲った某駅で起きた硫酸事件
がありましたが、
何故何年も根に持って、相手に執着し続ける事がやめられない人
がいるのでしょうか?
その理由を私なりの推論に基づいて、前回の「脳機能的・性格的な特徴」
に沿ってご説明したいと思います。
①生来の感覚過敏によって、
特定の刺激だけが強調されて鮮明に記憶化される
例:硫酸事件の犯人は、サークルの後輩に馬鹿にされたと感じた
→感覚過敏によって、悲しみ・恥・怒り等の感情を強く感じた
(扁桃体の過度の興奮)
②脳のワーキングメモリーがうまく働かない為に、
その記憶を削除できずに長期記憶に移されて
「忘れられない記憶」となった
例:硫酸事件の犯人は、その後輩との出来事を「忘れられない記憶」として
長期記憶に移してしまった
③「忘れて次へ進む」という作業が困難になり、
事あるごとにその”記憶”が蘇って記憶の鮮度が落ちず、
「過去の記憶として整理し、忘れてゆく」という作業が困難になる
(=相手への執着)
例:硫酸事件の犯人は、ふとした拍子に後輩の顔・言葉等を何度も思い出し、
その度にその時感じた「悲しみ・恥・怒り」等の感情を反芻し、
それを強化し続けたと考えられる
④そうしてそれが「拘り」となり、
時に本来持っていた「勝ち負けへの拘り」や
「相手を支配・コントロールする拘り」が合わさってしまう
例:硫酸事件の犯人は、恐らくそれ以前から「勝ち負け」や
「支配・コントロール」への拘りを持っていたと考えられ、
それらが合わさって、
「あいつ!俺を馬鹿にしやがって・・俺様を馬鹿にした奴はどうなるか
思い知らせてやる!」という考えが完成し、それに拘り続けた
のではないでしょうか?
⑤ここでもし
「共感性」や「自分を客観視」できる能力を持ち合わせていれば、
「あいつも悪気があった訳じゃないのでは?」とか
「いい年して俺はいつまでそんな事に拘ってるんだろうか?」
等と考え、復讐を思い留まるかも知れません。
ところがそれらが欠如していると
復讐に走る可能性が高くなるでしょう。
例:硫酸事件の犯人は、「馬鹿にした奴を復讐して何が悪い?!」
と自らを省みる事ができず、自分の拘りやルールを貫いた訳ですから
(少なくとも犯行直後は)罪悪感を感じたり、反省したり後悔する事も
無いのでは?と思います。
それでは、どうすれば根に持ったり相手への執着を断ち切る事
ができるのでしょうか?
そのヒントを次回お書きしたいと思います。
<次回へ続く>
コメント