コラム/2022-01-12
虐待を止められないお母さん・お父さんへ①連鎖
「我が子を愛そうと強く願っているのに、言う通りに動かない子を
まるで何かが憑依した様に怒鳴り続けたり、叩いてしまう・・・」
「誰にも頼れず一人で子供を育てようと頑張っているのに、
泣き止まなかったり手が掛かる子にイライラをぶつける事が
やめられません・・・」
一生懸命我が子を愛そうと頑張ってるのに、
親を反面教師にして理想のお母さん(お父さん)になろうと努力してるのに、
ほんの些細な事がきっかけで、コントロールできない衝動に襲われて
子供を怒鳴り続けたり、暴力を振るってしまう。
そしていつも
「私はなんて酷い母親なんだ・・・」
「あんなに嫌いだった私の親と同じ事をしてしまってる・・・」
「いっそ、施設に預けた方がこの子は幸せになるんじゃないか?・・・」
と激しい自己嫌悪に襲われる。
そういった我が子への虐待で悩まれておられるお母さん(お父さん)
も多いです。
では、何故虐待を止める事ができないのでしょうか?
ここからは私見ですが、考えられる原因としては2種類あると思います。
※以下に述べる”原因”はあくまでも推測の域での単なるリスク要因ですので
その点をご了承下さい。
※被虐待的な環境の中でも「レジリエンス」(自己回復力)が高い等の
理由で”虐待の連鎖”を止められている凄い方も中にはいらっしゃいます。
<我が子を虐待してしまう原因①>
まず一つ目は、
(こちらが過半数を占めると思いますが)親御さんご自身も
親等の家族・養育者から虐待(DV・面前DV・暴言・性被害・ネグレクト等)
されて育った。
→そういった家庭環境で育った場合は、
ICD11(国際疾病分類)で言う所の「複雑性PTSD」
に陥ってしまう方も多くなると考えられます。
この疾病は単発的なトラウマではなく、繰り返される虐待等の長期・反復的な
トラウマ体験によって脳が変形(前述)する程の傷害を負います。
症状としてはフラッシュバック・悪夢・パニック等のPTSD症状に加え、
「感情調節障害」(感情の制御不能)、
「自己評価の障害」(私は生きてる価値が無い等)、
「対人関係の障害」(他人への不信・孤立、親密な関係を断ち切る、
一方では助けてくれる人を求める)等の3つの要素(+解離)が
合わさっているというものです。
ご自身がそういった家庭環境で育ち、且つ
「感情の制御が効かない」(解離状態とも言えます)、
「私はダメな親だ」、「誰にも頼れない」・・・等が思い当たる方は
「複雑性PTSD」の可能性が高いでしょう。
もしそういった何重ものトラウマを抱えておられると、
自分を守る為に(自我の防衛機制)「私が虐待されたんじゃない!
この子が虐待されてるんだ!」と我が子を虐待する事で
(無意識に)自分の心の傷を塞ごうとしてしまうといった、
所謂「投影同一化」が起こる事もあるでしょう。
次回は私が推測する「我が子への虐待を止める事ができない原因」の二つ目
についてお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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