コラム/2022-06-06
カウンセリングでは具体的に何をするのか?⑥介入例
<前回からの続き>
今回は前回お書きした私なりの「ポイント」を踏まえて
引き続き架空のA子さん(の母親)への介入の例をお書きしたいと思います。
<クライアント(A子さんの母親)への介入例>
①母親の自他に対する否定的な認知を減らす、無くす
例えば、
「A子さんは生来の性格特性・傾向によって、感覚過敏が強い。」
「その為、騒がしい教室に耐えられない」
「でも、そんな中、中一までは頑張って通っていた」
「愛着形成が不十分なので、より耐性が無く母親に依存したいが
それができなくて苦しんでいる」
「かといって、感覚過敏がある為に愛着形成がうまく行かなかったので
母親の接し方や育て方は一切問題は無い」
「A子さんはその苦しみへの防衛反応として、母親に怒りをぶつけたり
希死念慮が出てきている」
「でもそんな中、母親も娘を助けたい一心で仕事を休んでまで
”問題”から逃げずに一生懸命取り組んでおられる」
「そして恐らく父親も同様の感覚過敏を有している為に些細な事に反応し、
怒りをぶつけるといった防衛反応のパターンができていた。
ただ、最近はそれを抑える方向で頑張っておられる」等々。
②クライアントとカウンセラーのお互いが合意した目標を作る
例えば話し合いの結果、母親の当面の目標として
「娘が元気になって欲しい」
→①「まずは笑顔が増えて欲しい」②「生活リズムが元戻って欲しい」
が挙げられ、お互いが合意できたとします。
③その目標を達成する為の手段の提案をする
(母親が抵抗なくできる事)
例えば
(動画を見て踊っている時や弟とゲームしてる時は娘が笑顔なら)
「お母さんが一緒に踊ったり、弟に”お姉ちゃんともっとゲームして”
と頼むのはどうですか?」
→(母親)「一緒に踊るのはちょっと・・・でも息子には頼んでみます」
(娘が絵を描いている時は柔和な顔だとすれば)
「見せて!と頼んで、絵に興味を持って、肯定的な感想を述べて
”もっと描いて”と頼んでみるのはどうですか?」
→(母親)「やってみます」
或いは、
(父親に恐怖を感じているので父親が寝静まるまで娘が寝られない
と考えると)
「1階でご主人と息子さん、2階でお母さんと娘さんというふうに
寝る場所を変える事ができますか?」
→(母親)「主人は嫌がります」
「なら、ご主人の癇癪を抑える努力を労いつつ娘さんの感覚過敏の話をし、
ご主人に協力を依頼し、ご主人が癇癪を起さなかったり、
ドアの開け閉めや階段を昇る音に気を配ってくれたら、
感謝を伝えるのはどうでしょうか?」
→(母親)「・・・あの人にそんな事言うのは嫌ですが・・・
わかりました、娘の為なら頑張ってみます!」
※他にも母親か父親が学校側に働きかけてクラスを変えてもらったり、
別室登校する事をお願いしてもらったり、教室でのノイズキャンセリング
やイヤーマフの使用の許可を取り付けたり等の環境調整、
愛着形成を狙っての、母娘間での交換日記、
娘が笑顔を見せたり、少しでも早く起きたり等の良い変化に対する
賞賛や労いの「褒めLINE」を送ったり、
お家の手伝いを頼んでみてしてくれた部分には感謝を伝える
(但し娘が感謝されて嬉しそうなら、ですが)等、
母親の合意の元で、娘の抵抗が無ければですが介入のパターンとしては
色々考えられます。
④結果のフィードバックと母親自身への労い・賞賛
双方が合意した介入を母親がやってみた結果をフィードバック
してもらいます。
この時に、
「うまく行った介入」は続けて頂き、
「うまく行かなかった介入」についてはまた別の介入を試してみる
提案を行います。
そして何よりも、
娘の為に我慢して頑張っているお母さんへの労いと力づけが大切
だと思います。
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