コラム/2022-07-15
精神疾患と心理療法②原因を探り仮説を立てる(2)
<前回からの続き>
今回も引き続き、
前回お書きした抑うつ症状に陥っていると思われる
架空のA子さんの例で彼女のストレスの原因の仮説を立ててみます。
<A子さんにうつ症状をもたらしているストレスの原因(仮説)>
・幼い頃の厳しい母親像を取り込んで「優秀でなきゃここに居られない」
「完璧にできなきゃ、私はダメな姉だ。そうなったら愛されない」
等といった根底の思考が形成された(中核信念、スキーマ=認知)
・「上」の立場に立った事で「優秀(な”姉”)でないとダメだ」という
思考パターンが益々強くなり、自分のミスを益々許せなくなった
・それ故毎晩自分のミスをチェックし、結果としてよりダメ出しが増えた
(自己否定思考の反芻)
・また仕事で行き詰っても「甘えちゃいけない、迷惑かけちゃいけない」と
上司や周囲に頼れず、独りで抱え込んでしまい、ストレスが増えた
(思考→行動)
・「もっと完璧に仕事しなきゃ!」と益々仕事に没頭する様になり、
ストレスを緩和する趣味の時間も取らなくなった(行動)
・「優秀でなきゃいけないのに優秀じゃない自分」(思考)、
VS「でも、もうこれ以上頑張れない」(思考)の葛藤により
涙が溢れ出て来る(感情)
一旦仮説ができれば(仮説はいつでも修正・追加できる柔軟なものでないと
いけないと思います)、それに基づいて介入(治療)を始めます。
例えば、
上のA子さんの例で言いますと、「否定的な自他に対する思考」(認知)
を変え、頑張り過ぎたり趣味の時間も取らない事、周囲に頼らない事(行動)
を変える、「認知行動療法」がオーソドックスな手法だと思われます。
ただ、
それでも改善しない、或いはドロップアウトしてしまうのであれば
「症状を維持するもの」に焦点を当てて、新たな仮説を考える事も大切
だと思います。
次回は
「症状を維持するもの」について(の仮説)お書きしたいと思います。
<次回へ続く>
コメント