コラム/2023-01-06
どうすれば症状が必要無くなる方向へ持ってゆけるのか?①
<前回からの続き>
前回、
「殆ど全ての”症状”と言われるものは、
その人にとっての不快刺激から来る心の不安定さから逃れ、
安定化を目指すといった脳のホメオスタシスとも言える働きによるもの
だと考えている。」
「つまり”症状”によって心の安定化が図られている訳だから
それを無くしてしまうと不安定に逆戻りするだろう。
だから私は、”まず症状を抑えよう!”という考え方には賛同できない」
といった私の考え方をお書きしました。
だとしても、
実際に”症状”に苦しんでいるご本人やご家族はどうすれば良いのでしょうか?
今回は、そういった方へのヒントをお書きしたいと思います。
(※勿論、今の自分にとっての不快刺激が明確であれば、
それを避ける為の環境調整等も必要だと思います)
<どうすれば症状が必要無くなる方向へ持ってゆけるのか?>
①今現在の自分にとっての心を安定させる方向性(傾向)を知る
今現在の不安・恐怖・不満・混乱等の不快刺激から来る
心の不安定さから逃れ、安定させる為に”症状”が生じているとすれば、
結果として”症状”が必要なくなる為には
それに代わる”心を安定させるもの”を見つけ、
徐々にそちらの方へ移行してゆく事が必要だと思われます。
但しここで注意しないといけない事は、
心の安定化の方向性は個々の人毎に、しかもその状況によって違って来る
と思います。
だとすれば、
まずは「その人にとって今の状況で、心を安定させる為には
どの方向へ持ってゆけば良いのか?」を掌握する必要があるでしょう。
私が思うに、
心を安定させる方向性としては大まかに分類すると
A.不快刺激を遮断する
これは主にセロトニンやGABAを基にそれに纏わる神経系を活性化し、
心の不安定さを鎮静化する方向と言えるでしょう。
例:ある種の「抑うつ状態」、ある種の「不登校・引きこもり」等。
B.快刺激や興奮によって不快刺激から来る不安定さを抑え込む
これは主にドーパミン(やアドレナリン)を基にそれに纏わる神経系を活性化し、
”快刺激”や”興奮”によって心の安定化を図る方向と言えるでしょう。
例:多くの「依存症」「(嘔吐無しの)過食」
「モラハラ・パワハラ等(他人を支配・コントロールしようとして)キレる」
「(罪悪感を伴わない)盗撮・痴漢・万引き等の触法行為・加害行為」
等。
C.より強い不快刺激によって現実の不快刺激から来る不安定さを抑え込む
これは主に、より強い不快刺激を創り出す事によって
それを抑え込もうとして働く、主にノルアドレナリンやセロトニン、
そしてモルヒネ様の脳内麻薬とも言えるオピオイドの分泌によって
現実の不快刺激まで抑え込もうとする方向と言えるでしょう。
(強い苦痛⇒快感)
例:「自傷行為」「自殺念慮」「過食嘔吐(嘔吐の苦しみ⇒すっきり感)」
「拒食症(食べない苦痛⇒痩せる快感)」「ワーカホリック」
「(罪悪感を伴わなう)盗撮・痴漢・万引き等の触法行為・加害行為」
等。
D.溜まった不快刺激(による不快感情)を一気に(放電)放出する
これは不快刺激を放出できずにため込んだ場合に生じると考えられます。
例:「(支配・コントロールの意図なしに)他人にキレる」
「(ある種の)パニック発作・過呼吸等」
E.他者からの助け・愛情によって不快刺激による不安定さを安定させる
これは主に”愛情ホルモン”と呼ばれるオキシトシンを希求し、
それによって心の安定化を図る方向と言えるでしょう。
例:「(わかってくれない)親・配偶者・恋人等にキレる」「共依存」
※1:「恋愛依存・性依存」等は多くの場合、これに加えて
上の「B」の”快刺激”も伴う事が多いと思います。
※2:「対人恐怖」等の「社交不安障害」は
「A」だけでは、益々人と関われなくなり辛くなるので、
「E」や「B」等の他のシステムが必要な場合もあると思います。
※注意が必要なのは、上の「B」~「E」等では
不快刺激に満ちている時は「抑うつ」とされ、
そこから逃れようとしている時は「ハイ」になっている事がありますので、
「双極性障害」と診断されてしまう事もあり得るでしょう。
この様に
「今現在の自分にとっての心を安定させる(”症状”の)方向性(傾向)」が
類推できれば、
次に
”症状”と同じ作用・効果をもたらす「心を安定させる代わりのものを見つける」
に移ります。
<次回へ続く>
コメント