コラム/2023-02-24
愛着形成と愛着の回路③何故愛着障害になるのか?
<前回からの続き>
前回お書きした様に、
乳幼児期に愛着形成がうまく成されないと、
愛着スタイルが「不安定型」(「回避型や両価型」,「無秩序型」)
の所謂「愛着障害」に陥ってしまう可能性が高まります。
そして、
成長してからも人間関係で苦しんだり、「〇〇障害」や「××症」
と呼ばれるメンタル不調に悩まされるリスクが大きくなるでしょう。
それでは、
「何故愛着が形成されずに愛着障害になってしまうのか?」
今回はその原因について私見をお書きします。
③愛着障害になる原因
(1)親側の要因
親(主養育者)の育児放棄や虐待、激しい夫婦喧嘩、怒鳴りつける等の
子の面前でのDV・モラハラ等、
「安全基地」である筈の親が、その役割を果たせない環境であったり、
親が気分屋であったり、
条件付きの愛情(例:子が言う事を聞く時のみ優しく、
言う事を聞かない時はキレる等)で育った場合。
※親が仕事で忙しかったり、病気であったり、
母親自身も夫からDVを受けていて子の安全基地にはなり得なかった、
等の不可抗力的な理由の場合もあるでしょう。
(2)子供側の要因
子供側がもし、先天的或いは成育環境によって「感覚過敏」を有していると、
例えば、
母親に抱っこされる事が、決して”快”を感じられず安心感を得られない
かも知れません。
また、
母親が疲弊していたり、不安や悩みを抱えていると、
いくら無理して笑顔で接しようとしても、子はそれを見抜いてしまう
かも知れません。
或いは、
感覚過敏によって外部の刺激が過多になって、子の脳が圧倒されてしまい、
母親の愛情を感じるどころでは無くなってしまうかも知れません。
それでは、
その様な原因によって、所謂「愛着障害」になってしまったとすれば、
その子はこの先も「安全基地」が無い、生き辛い人生を送らないと
いけないのでしょうか?
私は、そうは思いません。
何故なら、
乳幼児期に様々な事情で「愛着形成」が成されていなくとも、
脳の可塑性によって、何歳になっても「愛着の(再)形成」が可能だと
推測されるからです。
但し
「愛着を(再)形成」するには、まず親(主養育者)との関係性によって、
子供の脳の中に「愛着の回路」とも言うべき、神経回路が形成される必要
があるはずです。
でないと、子はいくつになっても親離れできなくなるでしょう。
子が親元から離れ自立してゆけるのは、
子の脳の中にこの「愛着の回路」が形成されているからだと思います。
次回はこの「愛着の回路」についてお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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