コラム/2023-02-27
愛着形成と愛着の回路④愛着の回路について
<前回からの続き>
前回までに、
「何らかの要因によって、乳幼児期に親(主養育者)との間で
愛着が形成されていないと、その後の人生が生き辛くなる、
所謂”愛着障害”になる事が多い」
「但し愛着が形成されていなくても、
何歳になってからでも”愛着の(再)形成”は可能である」
「その為には、脳に”愛着の回路”とも言うべき神経回路を形成する必要
がある」
と述べました。
今回は、私が考える”愛着の回路”についてお書きしたいと思います。
④愛着の回路とは?
”愛着の形成”を脳の働きから見た場合、
親(主養育者)は、ストレスから子供の興奮が高まったら、
安心を与え落ち着かせたり、
逆に子供の気分が落ち込んでいる時は、
気分転換させたり元気づけたりして活力を取り戻そうとするでしょう。
こういった、子供の自律神経系の調整をする事を
「相互調整」(他者によって落ち着く)と言います。
そして、
こういった感情と身体の体験を繰り返してゆくと、
それが潜在的な手続き記憶となり、
子供の脳の右眼窩前頭前野の発達が促進され、
自己慰撫力や感情の耐性、
つまり「自動調整」(自分独りで落ち着く)する能力が身について来る
と考えられています。
つまり、
親(主養育者)による相互調整が繰り返された結果、
それが潜在的な手続き記憶となり、「自動調整」できる様になる・・・。
私はこの「自動調整」できる様に働く脳の神経回路の事を
”愛着の回路”であると考えています。
ところが、
2~3歳までに、親(主養育者)との間で
「相互調整」が行われていなかった場合は、
当然「自動調整」に繋がってゆく潜在的な手続き記憶がありませんので、
成長してからも、不安・恐怖、怒り、落ち込み等に耐える力や
自分で感情を調整する事ができなくなるでしょう。
そして、その事で様々なメンタル不調や〇〇障害に苦しんで
「自分ではどうしようもない」状態に陥り易くなるでしょう。
それは「自動調整」してくれる”愛着の回路”が形成されていないから
だと思います。
それでは、
乳幼児期に”愛着の形成”が成されなかった人は、
一生この”愛着の回路”を形成できないのでしょうか?
私はそうは思いません。
”愛着の回路”はいくつになってからでも形成可能だと考えています。
次回は、私がそう考える理由をお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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