コラム/2023-04-14
統合失調症⑮寛解に向けて~薬物療法(2)副作用と離脱症状
<前回からの続き>
今回は
「統合失調症」の薬物療法による副作用と
何らかの事情で減量、断薬された時の離脱症状について
お書きしたいと思います。
<抗精神病薬による主な副作用>
・薬剤性パーキンソニズム(震え・筋肉のこわばり、小刻み歩行等)
・アカシジア(むずむず、ソワソワしてじっとしていられない等)
・急性ジストニア(筋肉の異常な収縮が起き舌や口が出てしまう、
歯を食いしばり口が引けない等)
これらは、薬によって過度にドーパミンが遮断される事による副作用
(錐体外路症状)です。
他にも
・高プロラクチン血症(生理不順や母乳が出る、胸が張る等)
・ふらつき・眠気
・体重増加
・悪性症候群(発熱、反応が鈍くなる等の意識障害、震えや筋肉の強い強張り、
心拍数や呼吸数の増加、筋肉の組織が壊れることによって
腎臓に負担がかかる等)
・不整脈
・高血糖(特にジブレキサ等による食欲増加)
・下痢や嘔気
また、
「定型抗精神病薬」では、それらに加えて以下の副作用が出現する
場合もあります。
・起立性低血圧(立ちくらみ)
・口渇、便秘、眼圧上昇、排尿困難
<副作用を抑える薬>
副作用を抑える薬としては、
抗精神病薬によって、ドーパミンが遮断され過ぎた事から来る副作用
(主に錐体外路症状)を抑える為に、
「抗パーキンソン病薬」が使われる事があります。
これは例えば糖尿病患者さんが、
インシュリンを注射し血糖が下がり過ぎると倒れますので、
血糖を上げる食べ物を食べて調節するのと似ています。
但し、
この「抗パーキンソン病薬」にも口渇、便秘、眼圧上昇、排尿困難等の
副作用が出る場合もあります。
そう考えれば、
生体内の絶妙なホルモン(神経伝達物質)バランスを制御している
生体の神秘を感じさせてくれます。
※副作用を抑える薬としては他にも便秘薬等も使われます。
<薬の減量・中断による離脱症状>
最後に、
薬の減量や突然の使用の中断は絶対に自己判断で行わないでください。
薬で何とか症状を止めている訳ですから、
減量や中断によって再び症状が(より)強く出たり、
悪性症候群等が出現する場合もあります。
次回からは
統合失調の寛解に向けての治療のうちの心理療法について
お書きしたいと思います。
※私は心理師であって、医師ではありません。
従って薬剤の処方についてや減薬/断薬については
ご相談に乗れませんので、ご了承下さい
<次回へ続く>
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