コラム/2023-09-08
統合失調型パーソナリティ障害を寛解に導くヒント
<前回からの続き>
今回は前回お書きした
「統合失調型パーソナリティ障害の原因」を基に
その寛解に向けてのヒントをお書きします。
<統合失調型パーソナリティ障害を寛解に導くヒント>
①敏感さを強めるストレスを減らす
前回の「原因」でお書きした様に、私の想像が正しければ
統合失調型パーソナリティ障害と言われるものは
他者や環境から来る刺激への過敏さ、または統合不全から来る混乱、
と
その防衛反応としての回避や独自の解釈・秩序立てによって統合を目指している
と考えられます。
だとすれば、
まずはできる限りストレスを減らす工夫が必要だと思います。
(1)環境調整
不快刺激と考えられる他人との(直接的な)交流によるストレスの軽減
を目指します。
例えば、
他人との交流が少なくて済む部署への異動、転職、役割変更、
文章(メールやLINE等)でのやり取りにする、
在宅ワークや保健室登校等、無理に交流の場へ行かせない、
等々。
(2)ストレスから来る心の不安定さを安定させる
刺激(ストレス)によって不安定になった心の安定化の方向としては
(以前もお書きしましたが)
A.不快刺激のシャットアウト(GABA・セロトニン型)
B.快刺激を求める(ドーパミン型)
C.愛情・愛着・安心等をもたらしてくれる人との交流(オキシトシン型)
の主に3種類があると私は考えています。
そして、その最も適切な比率/割合は個々人によって違う筈です。
ここで、
統合失調質型パーソナリティ障害と呼ばれる人は、
恐らく「A」の比率が高いと思われます。
だとすれば、
出来る限り、誰にも邪魔をされない空間・時間を確保する事が役に立つ
でしょう。
例えば、
会社に出社しないといけないのであれば、パーテーションで囲ったり、
一人部屋や離れた席等、視覚的・聴覚的に他人からの刺激を受けない
工夫をする。
また家族など、誰かと一緒に住んでいるのであれば、
一人部屋、独りの寝室、庭やベランダにテントを張って、そこへ籠る、
等々。
※こんな事をすると益々回避傾向が酷くなるのでは?
とお考えの方もいらっしゃると思いますが、
私は「不快刺激によるストレスが高じるから、
その防衛策として回避している」と考えますので、
まずはストレスを軽減して、心の安定を図る事が先決だと思います
②自我強化
前回の「原因」でお書きした様に、
「統合不全」、「(個を超えた)自我肥大」の問題があるとすれば、
自我を強化する事が役に立つと思います。
(1)客観的観点を意識する
学校や職場等で、どうしても他人と交流しないといけない場面では、
自己(自身の無意識)の傾向を(自我が)意識して、
俯瞰・客観的に視る訓練が役に立つでしょう。
例:隣の席の人に対して「この人は私を馬鹿にしているに違いない」
という認知・思考が自動的に出て来た場合は、
→「私の自己が”この人は私を馬鹿にしている”と感じているんだな」
(2)それによって情報を集める
自己は根拠もなく思い込み決めつける傾向(統合の為に)が強いと認識し、
その根拠とそれに対する反論、更にはそうではない根拠といった、
3つの情報を集める。
例:「彼(隣の席の人)が私を馬鹿にしている根拠は?・・・
蔑んだ表情で、私によく嫌味を言う。
「それに対する反論を考えると・・・
彼を観察していると他の人に対してもよく蔑んだ感じで嫌味を言う
・・・私にだけでは無いんだ!」
「彼が私を馬鹿にしていない根拠?・・・
この前、同じ業務を彼より私の方が速く済ませた時には、
彼は”負けた”と思ったのか、悔しそうな顔をしていた。」
(3)それらを分析して結論・意味づけを見直す
例:「彼は”負けたくない”という気持ちが強くて、
失敗したり、自分より劣っていると感じると、
傘にかかって攻めてくる。
何でも自分が周りより優れていないと気が済まないタイプかも?
・・・だとすれば、彼こそ自我肥大した自己愛が強い人なのかも
知れない」
(4)新しい意味づけで相手を意識する
例「あ~また彼は私に嫌味を言ってる。彼の自己愛ちゃんが
優越感を求めてるんだなあ~。しょうがない人だなあ」
等々。
※お独りでは難しい場合はお気軽にご相談下さい
<次回へ続く>
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