コラム/2023-12-22
学校へ行けない人へ③心的過敏(1)S型の例
<前回からの続き>
今回からは、
”心的過敏”とも言うべき、感情的な快/不快への過敏さを持っている為に
学校へ行けなくなっているお子さんと親御さんに向けて、
前回お書きした、不快刺激(⇒不快感情)を回避する方向性の違いを基に
私が分類したタイプ別に、その例と解決へのヒントをお書きしてゆきたい
と思います。
<学校へ行けなくなったお子さんの例(1)S型>
◎S子さんの例(S型=セロトニン安定型)
「中学1年生のS子さんは、真面目で大人しい性格で、
勉強もよくできて親御さんにとっては自慢の長女でした。
親御さんの勧めで中学受験をし、
家から少し離れた有名な中学へこの春入学しました。
S子さんは、入学して一、二週間は、片道2時間の電車通学、
山ほど出される宿題を必死でこなしていましたが、
家でもどんどん口数が減ってゆき、笑顔も見られなくなってきました。
心配した母親が”大丈夫?しんどくない?”と訊いても、
”大丈夫・・・”と暗い顔で答えるS子さんでした。
ただ、”私、この前のテストでまた学年順位が下がっちゃった”
という言葉が母親には引っ掛かりました。
訊けば、競争心やライバル心を強めようという意図なのか、
小テストでさえクラスの順位を皆の前で公にする様な学校の方針があった
様です。
やがてS子さんは家で全く話さなくなり、学校から帰るとご飯もそこそこに
すぐに自室へ引き籠る様になりました。
そしてとうとう夏休み明けから学校へ行けなくなりました。
S子さんは、今では一日中自室の布団の中に潜り込んでいて、
食事も自室で採る様になり、家族の誰とも会わない様に生活しています。」
<解説>
上の例では、
”今”のS子さんの状況から想像すると、
不快刺激どころか刺激全般を回避しようとしている様に感じられます。
もしそうなら、
恐らくS子さんは、私が仮定した「S型」、
つまりGABAやセロトニン等の抑制性の神経伝達物質を利用し、
不快刺激の回避/シャットダウンの方向へ向かう事で心の安定を図っている、
と言えると思います。
もし、S子さんがそういう傾向を持っていたとすれば、
恐らく
・幼馴染等、友達が居ない全く新しい環境(中学校)への変化
=(不快)刺激
・長時間の電車通学
=(不快)刺激
・山ほどの宿題を決められた期限までにこなす
=(不快)刺激
・競争心(勝ち負け/優劣/上か下か)を煽られる
=(不快)刺激
等を持ち前の敏感さで強く感じ、
刺激過多が絶えられないレベルになったのでは?と想像できます。
もし、これらの私の推察が正しければ、
S子さんの様な「S型」の人やその親御さんはどうすれば良いのでしょうか?
次回は、
私が考えるその解決へのヒントをお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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