コラム/2023-12-25
学校へ行けない人へ③心的過敏(1)S型の解決のヒント
<前回からの続き>
今回は、
”心的過敏”とも言うべき、感情的な快/不快への過敏さを持っている為に
学校へ行けなくなっているお子さんの中で、
前回のS子さんの例の様にGABAやセロトニン等の
抑制性の神経伝達物質を利用し、
不快刺激の回避/シャットダウンの方向へ向かう事で心の安定を図るタイプ、
つまり私が言う所の「S型」のお子さんやその親御さんに向けて、
解決へのヒントをお書きしたいと思います。
<学校へ行けなくなったお子さんの解決へのヒント(1)S型>
◎S子さんの例(S型=セロトニン安定型)
①子供にとっての心的な不快刺激(不快感情)を減らす工夫
前回お書きした「S子さん」の例では、
恐らく彼女は私が仮定した「S型」、
つまりGABAやセロトニン等の抑制性の神経伝達物質を利用し、
不快刺激の回避/シャットダウンの方向へ向かう事で心の安定を図っている
と考えられます。
そうした場合、
自室に引きこもってしまっている彼女は、
「行きたくもない学校に行かせやがった、ママの事許さない!」
とか
「宿題沢山出しやがって、こうなったのはあの担任のせいだ!」
等と、
親や他人を責める「他責思考」にはなりにくいと思います。
何故なら、
抑制性の神経伝達物質が働いて引き籠っている訳ですから、
”敵”を仮定した「他責」に必要な(ノル)アドレナリン等の
興奮性の神経伝達物質は抑制されると考えられるからです。
だとすれば、
恐らくS子さんの心の中では、
「ママの期待に応えられない私なんて、居ない方がいい・・・」
とか
「本当に私はダメ人間だ・・・消えてしまいたい」
等といった、
「自責」や「自己否定」が渦巻いている事の方が多いでしょう。
そうした時に親御さんとして注意した方が良い事としては、
「あなたの事が心配」とばかりに仕事を休んでべったり家に居て、
「大丈夫?」と声を掛けたりするのは逆効果になる事もあると思います。
何故なら、
親のそういった言動が子供にとって”刺激”となり、
「ママに心配掛けてる私は本当にどうしようもない」
とか
「ママに迷惑かけてしまってる私なんて必要無い」
等と、
益々自責・自己否定が強くなる怖れがあるからです。
もしそうだとすれば、
親御さんはどうすれば良いのでしょうか?
私の考えでは、
「できるだけ刺激を与えずに子供が自己肯定出来る様にもってゆく」
という事だと思います。
たとえば、
お子さんに手紙を書いて「あなたが学校行ってようが、行ってなかろうが、
そんな事は関係なく大切だよ」
等の無条件の愛情が伝わる内容を書いたり、
お子さんが幼い頃から今迄の間で
「この子が居てくれて良かった!助かった!」
と感じたエピソードを書き並べて、
「ママの子に生まれて来てくれて有難う!」
等と感謝も書き綴るのも良いと思います。
そしてその手紙を部屋の外に置いた食事のお盆に沿えておく
のもよいでしょう。
②子供にとっての不快刺激を回避する時間/空間を増やす工夫
(環境調整)
まず、
お子さんが「S型」では?と感じられる場合、
親御さんは、
「子供にとっての不快刺激は何だろう?」
と想像する事から始めてみましょう。
例えば、
前回の「S子さん」の例では、
・知り合いのいない新しい環境
・長時間の電車通学
・山ほど出される宿題
・競争心を煽られる事
等が彼女にとっての不快刺激と想像されます。
そして、
それを極力排除する方向で、
ご夫婦で話し合ったり、学校に相談したりしてみましょう。
例えば、
・学校側と話し合った結果、新学期から「特進コース」から
もう少し”緩い”別のコースへ移る事も可能になった
・パートのシフトを変えてもらえば、
母親が車で娘を送迎する事もできそう
・幼馴染が居る近くの公立通学校に通わせる事も夫婦で検討した
・夫婦でフリースクールの資料を取り寄せて、
娘に合いそうな所を何カ所かピックアップした
等々。
そうした準備が整えば、
「あなたも”これから私はどうなっちゃうんだろう?”と心配だと思うけど、
今後はこういった選択肢があるよ」とそれらを提示した手紙を書いて、
お子さんに選んでもらう、
等。
次回からは、
”心的過敏”とも言うべき、感情的な快/不快への過敏さを持っている為に
学校へ行けなくなっているお子さんの中で、
「D型」(不快感情を回避する戦略として、
主にドーパミンや(ノル)アドレナリン等の興奮性の神経伝達物質を利用し、
不快刺激(⇒不快感情)を快刺激(⇒快感情)やより強い刺激に置き換える)
と思しき''お子さんの例と解決へのヒントをお書きしてゆきたいと思います。''
<次回へ続く>
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