コラム/2023-12-29
学校へ行けない人へ③心的過敏(2)D型の解決のヒント
<前回からの続き>
今回は、
”心的過敏”とも言うべき、感情的な快/不快への過敏さを持っている為に
学校へ行けなくなっているお子さんの中で、
前回のD男君の例の様に
主にドーパミンや(ノル)アドレナリン等の興奮性の神経伝達物質を利用し、
不快刺激を快刺激や、より強い刺激に置き換える事で
不快感情の安定を図るタイプ、
つまり私が言う所の「D型」のお子さんやその親御さんに向けて、
解決へのヒントをお書きしたいと思います。
<学校へ行けなくなったお子さんの解決へのヒント(2)D型>
◎D男君の例(D型=ドーパミン安定型)
①子供にとっての心的な不快刺激(不快感情)を減らす工夫
前回お書きした「D男君」の例では、
恐らく彼は私が仮定した「D型」、
つまり
主にドーパミンや(ノル)アドレナリン等の興奮性の神経伝達物質を利用し、
不快刺激を快刺激や、より強い刺激に置き換える事で
不快感情の安定を図るタイプであると考えられます。
そうした場合、
叱ったりたしなめる事は更なる不快刺激を与える事になり、
叱る⇒益々不快を感じてキレル⇒益々叱る⇒不快刺激がMAXになり、
爆発(大暴れ等)する事に繋がる危険性があるでしょう。
ですから、
こういったタイプのお子さんには、
子供にとっての不快刺激を減らしてゆく工夫が必要だと思います。
例えば、
母親
「あんた!ゲームばっかりして時間を無駄にして・・・
お母さんはあんたは野球の才能があると思ってるんだから、
そんな暇があるんだったら、寝る前にバットの素振りでもしてきなさい。
それに、私はあんたの足の速さは凄いと思ってるんだから、
朝起きてランニングしたらもっと盗塁に磨きがかかるかもよ!」
等と言ったり、
(担任の先生にも事情を説明しておいて)
担任
「おい、木下!お前がうるさいから真面目に授業を聞きたい子達は
迷惑してるんだぞ!だから騒ぐんだったら外へ行って素振りでもして来い!」
等と言ってもらったりして、
注意するにしても極力D男君にとっての不快刺激を減らす(少なくとも
増やさない)方向の方が良いと思います。
②子供にとっての快刺激を増やす
ここで一度考えて頂きたい事は、
誰しも報酬が待ってるから我慢できる訳です。
例えば、
好きでもない仕事(不快刺激)を我慢して続けられるのは、
給料という報酬(快刺激)が必ず得られるからです。
そして
特に「D男君」の様な「D型」のお子さんはその部分がとても敏感な訳です。
ですから、
「脅し」や「恐怖」といった不快刺激で無理やり従わさせるのではなく、
「褒める」「報酬を与える」等の快刺激を用意して従わせる
方がスムーズにゆくでしょう。
例えば(親御さんが”息子はゲーム依存では?”とご心配な場合)、
母親
「(ゲームの時間を減らす目的で)
あんた、今夜寝る前に素振りを30分して、
明日の朝30分ランニングしたら、その場で小遣い〇00円あげる!」
或いは
「部活だけでも1週間毎日言ったら、小遣い〇00円あげる!」
「〇〇を1か月間毎日続けたら、
あんたが欲しがってた大谷モデルのグローブ買ってあげる」等。
更には先生やご主人も巻き込んで子供を褒めてもらう、
例えば、
部活の先生と連絡を取り合って、お子さんが得意な部分を任せてもらう
「木下、お前は普通考えつかない様な、みんなが楽しめる様な練習方法
を考えるのが得意だよな。
今度来る時までにみんなが楽しんでできる様な
練習メニューを考えておいてくれないか?」
等と言ってもらい、
それを準備して来たら、みんなに感謝してもらう様に取り計らってもらう。
母親
「あんた、勉強は嫌いだろうけど、
今週は3日でいいから頑張って授業受けたら、
お父さんがドームの試合に連れてってくれるって!」
父
「お前、今日は頑張って授業受けたみたいだな!
お父さんも昔は嫌な事から逃げる事も多かったけど、よく頑張ったな!
それに野球は熱心に練習してるようだな!お父さんは学生時代、
夢中に頑張ったものが無かったから、俺より大物になるんじゃないか?」
等々。
次回からは、
感情的な快/不快に極めて敏感なお子さんが、
不快感情を回避する戦略として、
「О型」=主にオキシトシン(愛着や絆を司る神経伝達物質)を利用し、
他人との交流で不快刺激(⇒不快感情)を回避し、感情の安定を図る、
と思しきお子さんの例と解決へのヒントをお書きしてゆきたいと思います。
<次回へ続く>
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