コラム/2024-01-10
学校へ行けない人へ④不安過敏(1)予期不安解消のヒント
<前回からの続き>
今回は、
”不安過敏”とも言うべき、不快刺激への過敏さを持っている為に
学校へ行けなくなっているお子さんの中で、
前回のY子さんの例の様な”予期不安型”と思しきお子さんや
その親御さんに向けて、解決へのヒントをお書きしたいと思います。
<学校へ行けなくなったお子さんの解決へのヒント
④不安過敏(1)予期不安型>
①豊かな想像力を駆使する
(1)自分を俯瞰で分析する
”不快刺激”⇒”不快感情”に敏感なのは、
自分のせいではなく、遺伝的/先天的なもだと認識しましょう。
だから不安になり易く、傷つき易く、トラウマ化し易いのだと。
一方では、
他人の不快にも敏感である為に、母親や弟妹の事を思いやる優しさ
も持っている。
加えて、
想像力が豊かであるという生まれ持った能力で、
不安を次々と予期してしまうが、
母親や弟妹、クラスや部活の子への気遣いができたり、
絵をを描く才能にも恵まれているのだと。
(2)自分を俯瞰で見る(自己肯定)
もし、
将来自分そっくりの個性を持った娘(不快刺激への敏感さと
豊かな想像力を持ち、優しくて他人に気遣いでき、絵の上手な子)
を授かったとして、
その娘が中学生になった時に、自分と全く同じ状況に苦しんでいる
と想像してみましょう。
その娘があなたに「ママ、私はママに迷惑かけるダメな子だよね?
・・・こんな私なんて居ない方がいいよね?」と訴えて来たとすれば、
あなたは何と答えるでしょうか?
例を挙げてみます。
あなた
「ゆう子、そんな事無いよ!あなたが学校行けなくなったのは当然だと思うわ。
だって、一杯傷ついて、これ以上我慢し続けたら、
立ち直れなくなりそうだから・・・だから休んでいていいよ!」
未来の娘(ゆう子)
「でも、このままだったら、ママを助けるどころか、
逆に迷惑かけちゃうし・・・」
あなた
「何言ってるの!あなたが居てくれてママはどれだけ助かったか・・・
あなたが学校行こうが行くまいが、ママはあなたが元気で居てくれたら
それで十分なの。」
未来の娘(ゆう子)
「ママ、本当に?」
あなた
「当たり前でしょ!あなたが元気じゃないとママは辛くなるし、
あなたが幸せでなかったら、ママも責任を感じちゃう・・・」
等々。
そして、
あなたの未来の娘が胸の中で苦しんでいると想像して、
”その子”に、上記の様に声を掛けてあげて、助けてあげましょう。
そしてもし未来の娘が、母親であるあなたに遠慮して
その苦しみを打ち明けずに独りで抱え込んでいたとすれば、
あなたは「私に心配かけない様にしてくれて有難う!」
と思えるでしょうか?
もし、
「そう思えない!」と感じたのなら、
思い切って今の苦しみをお母さんに打ち明けてみませんか?
(3)相手に意識を向ける(相手の立場に立つ)
Y子さんは自己防衛的になって
「”私”がどう思われるか?」「”私”がどう見られているか?」
という様に、自分に意識が集中している状態だと考えられます。
そんな時に、
相手に意識を向けて、相手の立場に立つ事も役に立つでしょう。
(※既に上の「(2)」では、お母さんの立場に立って頂きました)
例えば、
今迄、友達や同級生、弟妹等が失敗したり、予想とは違う反応(言動等)
をした時に、思わず笑ってしまったり、からかってしまった事
は無いでしょうか?
(もし、”私は他人を笑ったりからかったりする事はありません”という
極めて生真面目な人ならば、芸人さんや芸能人の予想に反した反応にも
笑う事は無いでしょうか?)
もしそんなシーンを思い出せたのなら、
あなたはその相手の性格や人格を否定しているのでしょうか?
恐らく、
笑ったりからかったりしたとしても、相手の事を必ずしも否定してるとは
限らないのではないでしょうか?
そういった想像ができれば成功です。
(4)望む未来を想像する
ここまでで、
自分を肯定できないまでも、否定する事が和らげば、
今度は自分の望む未来を想像してゆきましょう。
例えば、
「高校でも美術部に入って・・・でもお母さんに負担を掛けたくないから
商業高校に入って、事務系の会社へ就職しよう。
でも、自分の夢も諦めたくないから、昼間は働きながら学費を稼いで、
夜間の美術の学校へ通おう。
そうだ、高校次第だけど、美大に行けそうなら奨学金を貰おう。
そして、副業的にイラストの仕事をして、
家にもちゃんとお金を入れて、お母さんにはお家を建ててあげたいな。
私は、結婚して・・・。旦那さんは優しくて私を理解してくれる人で、
可愛い子供が二人位欲しいな。休日は家族でキャンプに出掛けて、
満点の星空を見たいなあ・・・。きっと子供達も感動するに違いない。
そして、子供達が巣立ったら、旦那さんさえ良ければ、
自然の中で自給自足的に暮らしたいなあ・・・。」
等々。
その”望む未来”は、例えばそうなった時の気持ちや、周りの母親や
未来の夫子の表情や言葉等、実際にそれを今、体験している
と感じるところまで、細かく想像する事が役に立つでしょう。
その”想像”は時間と共に変わってゆくかも知れませんが、
暇さえあれば、その想像をする時間を取ってみるのも良いと思います。
次回からは、
”不安過敏”とも言うべき「不安」に対する過敏さを持っている為に
学校へ行けなくなっているお子さんの中で、
漠然とした不安の中でも、特に「自分が生きる意味」や「孤独感」等の
所謂「実存/哲学的不安」によって学校に行けなくなったお子さん
や親御さんに向けて、
その例と解決へのヒントをお書きしてゆきたいと思います。
<次回へ続く>
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