コラム/2024-11-01
カウンセリングで大切なポイント⑨CLが実践できる様にする
<前回からの続き>
今回も引き続き、
「境界性パーソナリティー障害(BPD)」と診断された架空の女性の例
を基にお書きします。
<⑨クライアントが実践できる様に落とし込む>
①変えられない部分のノーマライズ
例:
「すぐ不安になったったり、激しい感情が出てきてしまうのは、
恐らくお父さんからの遺伝だと考えられます。
もっとも、お父さんもご先祖さんからの遺伝を引き継いでる筈ですから
誰が悪い訳でもありませんが、少なくともあなたのせいではありません。
ですから、強い見捨てられ不安や、怒り、試し行動や自傷への欲求が
出て来ても、
”これってお父さんの遺伝じゃん!もう!お父さんたら!”等と
他人のせいにしていいですので、自分を責めないであげて下さい。」
②内的作業モデルを作る
例:
「強い感情を俯瞰で見たり、客観視する為には、
まず、自動的に出て来る感情や感覚に名前をつけてあげて
”自分”と切り離してゆきましょう。」
等と、
内的家族療法や自我状態療法、パーツセラピーなどの方向へ持ってゆく、
或いは
「今、彼から何時間もLINEの返信が無い、
といった状況にあると感じてみましょう。
そうすると、何らかの感情や感覚が出てくると思いますが、
それが身体のどこかにわだかまっているとすれば、
どの辺りにあると感じますか?」
等と、
フォーカシングやハコミなどの方向へ持ってゆくのもいいでしょう。
※この辺りは、クライアントさんに合ったもので、
且つ、カウンセラーさんがお得意の手法を用いれば良いと思います
③スキーマと行動に働きかけてゆく
例:
「(CLさんに固有の信念やスキーマを見出して)
”私は見捨てられるに違いない”といった考え方をした時には
どんな感情が湧いてくるでしょう?
その強さは0~100のいくつくらいですか?
そして、その感情が出て来るとどんな行動を採りますか?」
その後、
「その信念を裏付ける証拠」と「”そうじゃないのかも知れない”を
裏付ける証拠」を書き出して、
黒↔白⇒グレーの思考を作り、信念や感情を再評価し、
'曝露反応妨害法'によって、アクティングアウトを防ぐ、
等の認知行動療法やスキーマ療法等で
クライアントさんをリードしていっても良いでしょう。
④耐性の窓を拡げてゆく
例:
「より適応的な新しい脳の神経回路や行動パターンを身につける為には
繰り返す必要があります。
ですから(スモールステップにして)今日お伝えした事を
BPDさんから送り込まれてきて、自動的に出て来る
思考や記憶、感情・感覚を感じる度に、試してみませんか?
勿論、いきなりすべてはできなくて当然ですので、
これから1週間は、まず〇〇と△△だけやってみましょう。
ただ、今はまだBPDさんの力が強力なので、
”今日1日の中でできた部分”だけをスマホにメモするなど、
加点主義でやってみましょう。」
等々。
<次回へ続く>
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