コラム/2023-06
2023/6/30 (金)
勝ち負けに拘る事の苦しみから脱する為のヒント(4)
<前回からの続き>
今回は
「他人の迷惑を省みずに勝ち負けに拘り続けて、他人を苦しめてしまう人」
の中でも、
オキシトシンシステムの働きが極めて弱い(と考えられる)が為に、
自らの勝ち負けへの拘りのせいで、
家族や他人を苦しめても罪悪感や申し訳なさを感じる事ができず、
反省もできないタイプの人
(自分の思い通りにならない相手に腹を立てたり、
自分にとっての不都合やデメリットが生じた時に
”お前のせいだ!”と他人のせいにするタイプ)
に対して、
その”拘り”を弱める方向へ導くヒントをお書きしたいと思います。
<勝ち負けに拘る事で他人を苦しめる事を弱化させる為のヒント(4)>
D.不快(嫌悪)刺激を強化する
こういった
(持って生まれて?)オキシトシンシステムが極めて弱いタイプの人でも、
「自分にとっての”メリットやデメリット”」への拘りはとても強い
様に感じます。
例えば、
思い通りにならない奥さんにキレて、DVやモラハラを繰り返す夫。
奥さんの立場を考えたり気持ちに共感する事も無く反省もできず、
「言う事聞かないお前が悪いんだ!」とか「お前が俺を怒らせるんだ!」
等と相手のせいにし続ける・・・。
愛情ホルモン系のオキシトシンシステムが極めて弱いと考えられます。
でも、
そんな夫でも近所の人には愛想良く接していて「優しそうな旦那さん」
と思われている場合もあるでしょう。
愛情ホルモン系が余り働かないのに、
何故ご近所さんには優しく接する事ができるのでしょうか?
私は、
「近所の人に嫌われるのが不快だから(=デメリット)、
良い夫に見せて自分の評価を良くしよう(=メリット)」
といった、
自分にとっての
デメリット(不快)を避けてメリット(快)を手に入れようとする傾向
がとても強いからだと考えられます。
(”相手が思い通りにならない”という不快を避ける為に怒りを使い、
”思い通りにする”という快を手に入れようとしてる、とも言えるでしょう)
もしそうだとすれば、こういったタイプの人には
「自分にとってのデメリット」を徹底的に意識させる必要があるでしょう。
例①:
「負けた分を取り返そうと家族の事を省みずにギャンブルにのめり込んで、
莫大な借金を抱えてしまう人」
⇒「もし借金が返せなくなったら、最悪どうなる?」
⇒「自己破産し、離婚する事になるだろうなあ」
⇒「そうなったとすれば、最悪どうなる?」
⇒「”破産者”として自分に傷がついて、仕事も変えなきゃいけなくなる。
そんな中で養育費を払って・・・、となると
自分で使えるお金が無くなってしまう」
⇒「そうなったら最悪どうなる?」
⇒「破産してるから借金もできなくなって、死ぬしかないかな?」
⇒「そうなる事を考えるのはどんな感じ?」
⇒「それだけは嫌だ!」
等と
「最悪の最悪」を書き出してゆく
例②:
「ライバルに勝ちたい!と卑怯・姑息な手段を使って、
周りから顰蹙を買ってしまっている人」
⇒「もし、それが周りにバレたら、最悪どうなる?」
⇒「俺の事をよくは思っていない部長にバレたら、
今のポジションから降ろされるだろうな」
⇒「そうなったら、最悪どうなる?」
⇒「そんな恥をかいてまで、この会社に居たくない」
{⇒「会社を辞めたとすれば、最悪どうなる?」};
⇒「転職すればいい!」
⇒「もし、業界全体にあなたの不正が知れ渡っていたとすれば?」
⇒「・・・他の業界で見つけるまでだ!」
⇒「もしそこで他の若い社員と同じように、
上から目線で叱られたり、舐められたらどうする?」
⇒「それでけは死んでも嫌だ!」
等と
「最悪の最悪」を書き出してゆく
例③:
「文句を言ったら、逆切れして倍返ししてくる決して”負けない”夫」
⇒「妻にキレ続けたら、最悪どうなるか?」
⇒「離婚するとか言ってくるだろうな」
⇒「そうなったら、最悪どうなる?」
⇒「モラハラやDV等といいやがって、
密かに証拠を集めて弁護士を立ててくるかも知れない」
⇒「そうなったら、最悪どうなる?」
⇒「慰謝料を請求して来たり、最悪訴えてくるかもな」
⇒「そうなったら、最悪どうなる?」
⇒「こっちも弁護士費用がかかるし
慰謝料とかになったら大損してしまう。それだけは嫌だ!」
等と
「最悪の最悪」を書き出してゆく。
※当ルームでは、夫婦・カップルカウンセリングも行っておりますので、
お独りでは難しい場合はお気軽にお問合せ下さい
2023/6/28 (水)
勝ち負けに拘る事の苦しみから脱する為のヒント(3)
<前回からの続き>
今回と次回では、
「負けた分を取り返そうと家族の事を省みずにギャンブルにのめり込んで
莫大な借金を抱えてしまう人」
「ライバルに勝ちたい!と卑怯・姑息な手段を使って、
周りから顰蹙を買ってしまっている人」
「文句を言ったら、逆切れして倍返ししてくる決して”負けない”夫」
等、
「他人の迷惑を省みずに勝ち負けに拘り続けて、他人を苦しめてしまう人」が
その拘りから脱する(脱しさせる)為のヒントをお書きします。
そういった人は
以前お書きした様に愛情・愛着・人との繋がりを促進する
オキシトシンシステムが弱いと考えられます。
但しここで「ふと我に返った時」に、
罪悪感や申し訳なさを少しでも感じ反省ができるタイプの人
(オキシトシンシステムは弱いが働く事が可能)
と
全くそういった感情を感じないタイプの人
(オキシトシンシステムが極めて弱い)
の2種類のタイプに分かれると思います。
そして、
前者のタイプの人には「オキシトシンシステムの強化」が
一方、後者のタイプの人には
”自分にとってのデメリット”といった「不快(嫌悪)刺激の強化」が
それぞれ有効である、と思われます。
今回はまず前者のタイプの人に向けて・・・
<勝ち負けに拘る事の苦しみから脱する為のヒント(3)>
C.オキシトシンシステムの働きを強化する
オキシトシンは愛情ホルモンと言われる事からも、
「愛情」「愛着」「他人との繋がり」「共感」「仲間意識」等
を促進するものと考えられています。
そして、
分娩や育仔などの社会経験は
オキシトシン神経系を活性化させる事がわかってきています。
以上の事から、
オキシトシンシステムを強化する為には、
(1)植物や動物を育てる、世話をする
(2)”意識して”大好きな人を喜ばせようとしたり、
その相手の役に立つ事をする
(3)ゲームでもスポーツでも趣味や仕事でも、
チームワークが必要で、 成し遂げた時や勝利した時に
”達成感”や”一体感”を味わえる事に参加してみる
等が有効だと思われます。
次回は、
「他人の迷惑を省みずに勝ち負けに拘り続けて、
他人を苦しめてしまっても反省できず、罪悪感も感じない人」が
その拘りを弱めて、他人を苦しめなくなる為のヒントをお書きします。
<次回へ続く>
2023/6/26 (月)
勝ち負けに拘る事の苦しみから脱する為のヒント(2)
<前回からの続き>
<勝ち負けに拘る事の苦しみから脱する為のヒント(2)>
B.興奮/過覚醒を抑え、別の報酬(快刺激)を用意する
前回までにお書きした様に、
”勝ち負けへの拘りが強い人”は
「不快刺激に対しての反応が逃走よりも闘争を選ぶ傾向が強い。
それは不快刺激のシャットアウトではなく、
快刺激で安定化するタイプであるから」
といった、私の考えをお書きしました。
これはつまり、
「不快刺激・嫌悪刺激」に対して、
それを上回る様な「快刺激」を持ってきて相殺しようとする脳の働き
と言えるでしょう。
その為、脳や神経系は常に興奮状態(過覚醒)に置かれ、
休まる暇も無くなると考えられます。
もしそうであるなら、
”負けの悔しさ”という不快刺激を感じた時に、
深呼吸して勝ち負け以外の事に意識を向ける等、
一旦クールダウンする事が役に立つでしょう。
そうして興奮が治まれば、
初めて「勝つ事以外」の快刺激(報酬)へベクトルを向ける事が可能になる
と思います。
例:「あ~、あいつに負けて悔しい!許せない!
今度はどんな汚い手を使ってでも勝ってやる!」
⇒好きなドリンクを1杯飲んで深呼吸してから、
今度は”勝つ為の反省”をしましょう。
「え?!俺のダメだった所?・・・そんなもん無い!
あいつのせいでプライドがぶち壊された!」
⇒(理性の中枢である前頭前野を働かせて共感しなだめてゆく)
「許せないよね!今度は絶対に勝とうね!
その為に今回は足りなかった事で次回に向けて強化できる部分は何がある?
それを書き出してみるのはどう?」(沈静化への誘導)
⇒「書き出すなんて面倒くさい!叩きつぶすのみだ!」
⇒「まあまあ、その”叩きつぶす為の作戦”とまず書いてみるのはどう?」
⇒「・・・だから面倒くさいって!」
⇒「じゃあ、30分で書き上げたら、
お気に入りのバーに飲みに行くのはどう?」(別の報酬)
⇒「・・・あの店か。最近行ってなかったもんな。
じゃあさっさと済ませて出かけるか」
と反省を書き始めれば、鎮静化の成功です。
ここで大切な事は、
辺縁系から湧き上がってくる情動(悔しさや怒り等)を鎮める為には
皮質側の”意識”の力が必要です。
そしてその力を引き出すには、
”意識して考えたり行動する”事が大切です。
(上記の例の場合は、好きなドリンクを飲む、深呼吸する、
辺縁系側に共感しながらなだめようとする、書き出す、提案をする、等)
<次回へ続く>
2023/6/23 (金)
勝ち負けに拘る事の苦しみから脱する為のヒント(1)
<前回からの続き>
前回までに、
「勝ち負けに拘る人」は
①快・不快刺激に対する敏感さを有している
②拘り(自分の思い通りにしたい)の強さを有している
③自分と他人の”差異”に敏感である
④不快刺激に対しての反応が逃走よりも闘争を選ぶ傾向が強い
⑤快刺激で安定化するタイプである
といった傾向を有している、といった私見をお書きしました。
そしてその中でも、
「勝ち負けに拘るあまりに、自他を苦しめてしまっている人」は
⑥オキシトシンシステムの働きが弱いのでは?
といった推察を述べました。
今回からはその考え方を基に
「勝ち負けに拘る事の苦しみから脱する為のヒント」
をお書きしてゆきたいと思います。
<勝ち負けに拘る事の苦しみから脱する為のヒント(1)>
A.理想の自分と今の自分との差異に敏感になる
上記「③」の「自分と他人の”差異”に敏感である」
に関しては、
生来的な敏感さから来ると考えられる拘りの強さをを有している人が
自分と他人の”差異”に敏感さのベクトルを向けた場合、
”思い通りにしたい”という拘りの強さがそこに固定され、
勝ち負けに拘る様になると考えられる、と以前お書きしました。
だとすれば、
敏感さやそこから生じる拘りの強さは変えられない(変える必要がない)もの
と考えると、
敏感さのベクトルの向きを
”自分と他人との差異”ではなく、
”理想の自分と今の自分との差異”に向けて、
そこに拘る様になる事ができれば、
勝ち負けへの拘りから脱する事ができると思います。
例:「同期の子達はみんな上司から褒められる事が多いのに、
私だけだ!叱られてばかりいるのは・・・」
⇒「理想の私?・・・仕事が速くてミスも無く、定時に仕事を終えて、
アフターファイブは友人と遊びに行く」
⇒(その中で、どの部分から拘るか?)
⇒「私の場合、正確さと速さの両方を意識すれば、どっちつかずになるので
まずはスピードを今の1.5倍にして、見直す時間を作ろう!」
等々。
※注:但し「理想の自分像」は、「みんなから尊敬されてる私」とか
「ギャンブルで100万円儲けた俺」等の他人や運の力が必要なもの
は避けて、自分の力のみで達成可能なものにしないと
苦しみに陥る可能性が出て来るでしょう
<次回へ続く>
2023/6/21 (水)
何故勝ち負けにこだわり過ぎて苦しむ(める)のか?(3)
<前回からの続き>
今回は
同じ”勝ち負けへの拘りが強い人”でも、
「負けん気が強い頑張り屋さん」や「その道のプロ」になる人
と
「自他を苦しめてしまう人」の違いを私なりの推測でお書きします。
<何故勝ち負けにこだわり過ぎて苦しむ(める)のか?(3)>
⑥オキシトシンシステムの働きが弱い
私の考えでは、
持って生まれて快・不快等の刺激に敏感な人が、
特に不快刺激によって心が不安定になった時に、
安定化させる為の脳の戦略として、
(1).GABA・セロトニンシステム
=抑制/低覚醒/安定系の神経伝達物質が働き、
不快刺激をシャットアウトする事で心を安定させる
(2).ドーパミン・アドレナリンシステム
=興奮/過覚醒/促進系の神経伝達物質(やホルモン)が働き
不快刺激を上回る快刺激を得る事で心を安定させる
(3).オキシトシンシステム
=愛情/愛着に関わる神経伝達物質が働き、
他人との繋がりを促進させて、
他人からの共感や慰め・励ましによって心を安定させる
の主に3つの方向性があると思っています。
そして、その比率は人によって異なると考えています。
例えば、
何かの出来事によって落ち込んだり、不安に襲われる等で
心が不安定になった時に、
Aさんは、
独りになって布団を被って寝ようとするのであれば
「GABA・セロトニンシステム」の比率が高いと言えるでしょうし、
Bさんは、
独りでバイクに乗って出かけて、カラオケで歌いまくるのであれば、
「GABA・セロトニンシステム」と「ドーパミン・アドレナリンシステム」
の2つの比率が高いと言えるでしょう。
Cさんは、
彼氏に電話して逢いに行って、泣きながら話を聴いてもらい
慰めてもらったとすれば、
「オキシトシンシステム」と「GABA・セロトニンシステム」
の比率が高いと言えるでしょう。
Dさんは、
友達を沢山呼んで”どんちゃん騒ぎ”をしたとすれば、
「オキシトシンシステム」と「ドーパミン・アドレナリンシステム」
の比率が高いと言えると思います。
但し、
多くの人はその比率が高いか低いかの違いがあっても、
上の3つの方向性を持っていると思います。
ところが、(持って生まれて?)
「オキシトシンシステム」の働きが極めて弱い人もいらっしゃると感じます。
そういった人にとっては
「心の安定化」の為には他人は必要無い訳ですから、
(支配・コントロール、勝つ、利用する、等の自分にとってのメリット
=快刺激を得られる場合のみ他人を必要ととするでしょうが)
他人の事を思いやったり、他人の為に何かしてあげたり、
という事は難しくなるでしょう。
それどころか、
自分にとっての不都合が生じた場合は「お前のせいだ!」
とか
「あいつのせいだ!」と他人のせいにしてしまう思考回路が形成される
と思います。
ただ、
オキシトシンシステムが少しでも働く人の場合は、
他人にキレてしまったり、迷惑を掛けたと感じた場合は、
後悔や罪悪感に駆られて謝ったり、反省したりする事によって
他人との繋がりを絶たない為のひと踏ん張りが効くのだと思います。
逆に、
オキシトシンシステムが殆ど働かない人は
「相手に勝つ!」「やっつける!」という己の快刺激の為には
相手にDVをしても、ライバルを姑息な手段で引きずりおろしても、
何とも思わないでしょうし、
ギャンブルにのめり込んで借金を重ねて妻子に迷惑を掛けたり、
離婚の危機になったとしてもギャンブルをやめる事ができないでしょう。
つまり、
こういったタイプの人が自他を苦しめる事になる事が多いと思います。
もしそうだとしても
「勝ち負けに拘って自他を苦しめる事から脱したいけど脱せられない」
事で悩んでいる人はどうすれば良いのでしょうか?
次回からは「勝ち負けに拘る事の苦しみから脱する為のヒント」
をお書きしてゆきたいと思います。
<次回へ続く>
2023/6/19 (月)
何故勝ち負けにこだわり過ぎて苦しむ(める)のか?(2)
<前回からの続き>
今回も引き続き、
「何故勝ち負けにこだわり過ぎて苦しむ(める)のか?」の原因
を私の推測に基づいてお書きしたいと思います。
<何故勝ち負けにこだわり過ぎて苦しむ(める)のか?(2)>
⑤快刺激で安定化するタイプである
「④」でお書きした例で言いますと、
Aさんは
勝負自体が不快になって、そこから逃げる事で心を安定させています。
これは、
刺激そのものを減らす方向で心の安定化を図っていると言えるでしょう。
それは恐らく、
ドーパミン・ノルアドレナリン・アドレナリンといった
興奮/過覚醒/促進系の神経伝達物質から来る不安定さを
GABA・セロトニンといった抑制/低覚醒/安定系の神経伝達物質で
安定させる戦略が主に採られているからだと思われます。
一方Bさんは、
不快刺激から来る不安定さを快刺激で安定させる為に「闘争」を選んでいる
訳です。
それは恐らく、
ノルアドレナリンから来る不安・恐怖・悔しさによる不安定さに対して
「負けるもんか?!絶対勝ってやる!」といった
更なるドーパミン(+アドレナリン)を出す事によって安定させようとしている
と言えるでしょう。
私は「どちらの傾向がより強いか」は恐らく持って生まれた特性による
と考えています
※例えば嫌な事があって落ち込んだ時に、
誰とも会わず引きこもってしまうタイプの人と
楽しい事をして”憂さ晴らし”するタイプの人との違いです
そしてBさんの様なタイプが、より勝ち負けに拘る様になると思います。
但し、
ここまではBさんは「負けん気が強い頑張り屋さん」であり、
「明るく行動的な人」であるかも知れませんし、
その道の一流のプロになる可能性だってあります。
だとすれば、
「勝ち負けに拘るあまりに、自分が苦しんだり他人を苦しめる人」
とそうでない人の違いは何なのでしょうか?
次回はその”違い”について引き続き私見を述べてゆきたいと思います。
<次回へ続く>
2023/6/16 (金)
何故勝ち負けにこだわり過ぎて苦しむ(める)のか?(1)
<前回からの続き>
前回、
「勝ち負けへの拘りが強い人は、
ドーパミン(報酬系)+アドレナリンシステム(やる気)や
ノルアドレナリンシステム(負けん気)が強く働く傾向がある人である」
「勝ち負けに拘る事自体は勝利という目標に向けての努力へのやる気
を引き出し成長や自信に繋がる、とても素晴らしいものである」
という私の考えをお書きしました。
ところが、
「負けた分を取り返そうとギャンブルにのめり込んで、
莫大な借金を抱えてしまう人」
「ライバルに勝ちたい!と卑怯・姑息な手段を使って、
周りから顰蹙を買ってしまっている人」
「文句を言ったら、逆切れして倍返ししてくる決して”負けない”夫」
・・・。
そういった、
勝ち負けに拘るあまりに自分が苦しくなってしまったり、
周りが迷惑を被ったり、人間関係が破綻する方向に行ってしまっている方
もいらっしゃるのは事実です。
今回からは、
「何故勝ち負けにこだわり過ぎて苦しむ(める)のか?」の原因
を私の推測に基づいて3回に分けてお書きしたいと思います。
<何故勝ち負けにこだわり過ぎて苦しむ(める)のか?(1)>
①快・不快刺激に対する敏感さを有している
恐らく持って生まれて、刺激(特に快・不快)に対する敏感さを有している。
そうなると、幼い頃から自分にとっての快刺激を最優先し、
不快刺激を避ける傾向がとても強いでしょう。
②拘り(自分の思い通りにしたい)の強さを有している
誰しも「自分の思い通りにならない」事は不快に感じると思いますが、
快・不快刺激に対する敏感さが非常に強いと
「思い通りにしたい」という拘りも当然強くなると思われます。
③自分と他人の”差異”に敏感である
「勝ち負け」や「相手より上か下か?」「支配?被支配?」
といった自分と相手の”差異”に敏感である人は、
”思い通りにしたい”という拘りの強さはそこに固定され、
勝ち負けに拘る様になる事が多いと思います。
④不快刺激に対しての反応が逃走よりも闘争を選ぶ傾向が強い
同じ様に勝ち負けに拘る様になった人の中でも、
”逃走”を選ぶ事が多い人と”闘争”を選ぶ事が多い人に分かれると思います。
例えば
「部活の試合で勝ちたい」と思って頑張ったけど、負けてしまった場合。
Aさんは「私って何やってもダメだな~。ショックで部活へ行けない
・・・」
と部活を休んでしまったとします。
一方Bさんは「クソ!悔しい!今度こそ絶対に勝ってやる!」と
益々練習に熱が入ったとします。
ここで、
Aさんの「思い通りにしたい」とうい拘りは「勝負から逃げたい」
という逃走の方向にベクトルが向いています。
ところがBさんの「思い通りにしたい」という拘りの強さは
「勝ちたい・負けたくない」という闘争の方向にベクトルが向いています。
私の推測では、この2人の違いは、
「安定化システム」の違いにあるのでは?と思います。
私が考える、その「安定化システム」の違いとは?・・・
<次回へ続く>
2023/6/14 (水)
何故勝ち負けにこだわるのか?
<前回からの続き>
皆さんも
子供時代にジャンケンや腕相撲、駆けっこやスポーツ、勉強等で
「勝てば気持ちが良くなって、負けたら悔しい」
といった経験をされたと思います。
これは、
程度の差こそあれ、多くの人にとっては、
「勝つ事」は”快刺激”であって、
ドーパミン(報酬系)+アドレナリンシステム(やる気)が働き、
「負ける事」は”不快刺激”であって、
ノルアドレナリンシステム(負けん気)が働くと言えるでしょう。
例えば、
自分が何年も続けている個人競技で、
どうしても勝てないライバルが居るとします。
「そのライバルにもし勝てたら?・・。滅茶苦茶嬉しいし達成感を感じる。
そして周りの皆から賞賛されて・・・。」と
こう想像するだけでドーパミンシステム(報酬)が作動し、
アドレナリンシステム(やる気)も働いて、練習にもより熱が入るでしょう。
また例えば、
勝てると思った勝負に負けて、悔しくて腹が立って仕方なかったとします。
「クソ!ムカつく。今度こそあいつに勝って見返してやる!」と
死に物狂いで練習に没頭する時には、
ノルアドレナリンシステム(負けん気)が働いていると言えるでしょう。
※その昔、TVドラマになった「スクールウォーズ」の泣き虫先生が、
強いチームに大敗してもケロっとしているラグビー部の生徒達に
「お前達、悔しくないのか?!!」と叫んだシーンがありましたが、
不良の生徒達にとってはラグビーでの勝利は、
他の楽しい事に比べて報酬系であるドーパミンシステムが働かない。
それを知ってか知らずか?彼らが持ってる「負けん気の強さ」である、
ノルアドレナリンシステムに働き掛けて、
やる気(アドレナリンシステム)を引き出したとも言えると思います
その様に考えると、
勝ち負けへの拘りが強ければ強い人程、
ドーパミン(報酬系)+アドレナリンシステム(やる気)や
ノルアドレナリンシステム(負けん気)が強く働く傾向がある人
と言えると思います。
いずれにしても、
「勝ち負けに拘る事」は勝利という目標に向けての努力へのやる気を引き出し、
成長や自信に繋がる、とても素晴らしいものであると言えるでしょう。
ところが、
この勝ち負けに拘る事で幸せになる人と、
自分が苦しんだり、周りの人を苦しめる人がいらっしゃる
のは確かだと思います。
次回からは、
「何故勝ち負けにこだわり過ぎて苦しむ(苦しめる)のか?」
についてお書きしてゆきたいと思います。
<次回へ続く>
2023/6/12 (月)
勝ち負けにこだわる事の大切さ
先日行われた野球のWBC。
侍JAPANは奇跡的な優勝を遂げて、多くの方を魅了したと思います。
「あいつに勝ちたい!」と一生懸命練習を積み重ね、
見事ライバルを倒したボクサー。
「学年で一番になりたい!」」と遊ぶ時間も惜しんで勉強に励み、
その栄冠を勝ち取った学生。
「同期のライバル達には負けたくない!」と日々研鑽と努力を重ね、
見事一番出世を果たしたビジネスパーソン・・・。
勝ち負けに拘って努力を重ねて、目標に到達する姿は
とても素晴らしいものだと思います。
ところが、
「負けた分を取り返そうとギャンブルにのめり込んで、
莫大な借金を抱えてしまう人」
「ライバルに勝ちたい!と卑怯・姑息な手段を使って、
周りから顰蹙を買ってしまっている人」
「文句を言ったら、逆切れして倍返ししてくる決して”負けない”夫」
・・・。
そういった、
勝ち負けに拘るあまりに自分が苦しくなってしまったり、
周りが迷惑を被ったり、
人間関係が破綻する方向に行ってしまっている方
もいらっしゃいます。
今回からは
「何故勝ち負けに拘るのか?」
「勝ち負けに拘って幸せになる人と苦しんだり苦しめる人との違い」
「勝ち負けに拘っても苦しま(め)ない為のヒント」
をお書きしてゆきたいと思います。
<次回へ続く>
2023/6/9 (金)
他人と比べる事での苦しみから抜け出す為のヒント③
<前回からの続き>
今回は、
「他人と比べる事での苦しみから抜け出す為のヒント」
の最終回です。
<他人と比べる事での苦しみから抜け出す為のヒント③>
Eその”目標”に至る段取りが組めていない
”改善目標”が決まったとしても、
「どうやって改善してゆくか?」「どこから手を付けてゆくか?」
の段取りを組む事ができない
⇒自分の”目標”が決まれば、
「それに向けて何が必要か?」の準備や工程を箇条書きしましょう
例:”化粧をうまくなりたい”
⇒顔の中のどのパーツ(目?眉?肌?唇?髪の毛?)から始めるか決める
⇒動画やSNSでメイクの仕方をUPしてる人を見つける
⇒その中で私に合ってそうで、しかもできそうな仕方をUPしてるもの
をお気に入り登録する
⇒そのメイクに必要な道具や化粧品を購入する
⇒実際にメイクしてみる
⇒家族や友人にメイクした顔を見せて、意見を聴きながら修正してゆく等。
Fいつまでも他人との比較に拘り続けて
”理想の他人”⇒”理想の自分”へと「内在化」できていない
⇒「こうなりたい!」という理想の自分像を書き出してゆく
⇒その中で、どう努力しても不可能に思える事は除外してゆく
例「化粧できゃりーぱみゅぱみゅみたいな目元に近づける」
は可能かも知れませんが、
「齋藤飛鳥みたいな小顔になりたい」
は無理がある人も多いかも知れません
※イチロー選手だって、ホームランバッターのベイブルースは
自分の理想像には取り入れてなさそうです
⇒理想像が明確になれば、そうなった自分をリアルにイメージしてゆく
⇒その中で、”比較的できそうな事”から順番に並べ替えてゆく
⇒一度に一つずつ目標として、それに至る”小さな一歩”を積み重ねてゆく
⇒進捗管理して、できたものには〇をつけてゆく
※お独りでは難しい場合はお気軽にご連絡下さい。
2023/6/7 (水)
他人と比べる事での苦しみから抜け出す為のヒント②
<前回からの続き>
今回も前回からの続きで
「他人と比べる事での苦しみから抜け出す為のヒント」
をお書きしたいと思います。
<他人と比べる事での苦しみから抜け出す為のヒント②>
C自分の努力だけでは実現が難しいものを”目標”としてしまっている
例;「世の中の人皆から愛されたい」(=誰も私を嫌わないで!)
「みんな私の事を認めて!」「全ての面で他人に勝ちたい」等々
⇒自分の努力だけで、実現可能な事を目標にする
例:「私は数字が好きだ・・・
そうだ!簿記の資格を取って、ゆくゆくは税理士を目指そう!」
「私は困っている人が居ると放っておけない。
でも声を掛けるのが怖い!・・・
そうだ!困っている人が居た時に、
思い切って声を掛けられる様に頑張ってみよう!」等々。
Dその”目標”を絞り切れていない
⇒他人と比べて、自分の変えたい部分が沢山見つかれば、
それらを書き出してみましょう。
そしてその中で一番変え易い部分をまずは一つだけ目標にして、
そこへ集中しましょう。
例:「私はみんなみたいに可愛くもないし太っているし、
ファッションセンスも悪いし、化粧も下手だ・・・。
まずは、手っ取り早く化粧を勉強してみようかな?」等
※ここで、時間も労力も比較的かからずにできる目標に絞る事は、
自信をつけ、自分を変えてゆく事のはずみをつける事に繋がるでしょう
<次回へ続く>
2023/6/5 (月)
他人と比べる事での苦しみから抜け出す為のヒント①
<前回からの続き>
今回からは、
他人と比べる事で苦しんでいる人が、そこから抜け出す為のヒント
をお書きしてゆきたいと思います。
前回、
「他人と比べる事で苦しくなる原因」として
私の推察を基に
A自分と他人との差異に敏感である
B思い込みの強さから自分を客観視できていない
(1)劣等感に集中し続けている
(2)嫉妬心に集中し続けている
C自分の努力だけでは実現が難しいものを”目標”としてしまっている
Dその”目標”を絞り切れていない
Eその”目標”に至る段取りが組めていない
Fいつまでも他人との比較に拘り続けて
”理想の他人”⇒”理想の自分”へと「内在化」できていない
といった「A」~「F」の要因をお書きしました。
今回からはその一つ一つに対しての解決法をお書きしたいと思います。
<他人と比べる事での苦しみから抜け出す為のヒント①>
A自分と他人との差異に敏感である
⇒”敏感さ”のベクトルの向きを変える
(1)今居る集団(クラス・友人関係・職場・サークル等)で、
自分が望む特性のうち、自分は持っているがそれを持っていない人を探す
例:「私は優しさや思いやりは大切だと思う。
この前クラスのAちゃんが落ち込んでいたので、
気になって声を掛けた。
でもBちゃんやEちゃんはAちゃんの事を無視してたよな・・・」
等。
(2)今居る集団の中で、自分が望まない特性のうち、
自分は持っていないが、それを持っている人を探す
例:「私は他人の陰口を言うのも聞くのも嫌だ・・・。
でもC子とF子はよく陰口を言い合ってるよなあ・・・」等。
(3)今居る集団の中で、自分と似たような特性を持っている人を探す
例:「気にし過ぎてしまう自分が嫌だけど、
そう言えばD子も私と似て、気にし過ぎるタイプだよなあ。
他人と話すのが苦手な私ってダメだなあと思うけど、
E子も会話が苦手っぽいから私と同じ様に悩んでるんだろうなあ」
等。
B思い込みの強さから自分を客観視できていない
⇒”思い込み”を緩めて自分を客観視できる様にしてゆく。
その為には”自分”から一旦離れて、
他人(自分の事を一番よくわかってくれている親・祖父母・親友、
或いは自分とそっくりな将来の我が子等)の視点に立ってみましょう
(1)劣等感への集中に対して
例:「私はみんなができる事の何一つとして満足にできない」
⇒(親友のA子ならどう言ってくれるだろうか?と考えて)
⇒「そんな事無いよ!あんたは人一倍優しいし真面目だし、
歴史の知識は本当にびっくりするくらい豊富だから、
とても勉強になってるよ!」
⇒そのA子が言ってくれるであろう言葉を紙に書いて、
自分に向けて言ってあげる、等。
(2)嫉妬心への集中に対して
例「G子は性格悪いのに顔だけで男子にチヤホヤされてる・・・悔しい!」
⇒(自分にそっくりな将来に授かった我が娘が同じ悩みを抱えてるとすれば、
私は娘に何て言ってあげるだろうか?と考えて)
⇒「それは悔しいわよね!でも、それって”男子にチヤホヤされたい”
と願ってるって事だよね!
あんたの良さって、明るい所と世話好きな所だから、
そこをもっと磨いてゆけば、チヤホヤされる様になるかも!」
⇒その、将来の私が娘に言うであろう言葉を紙に書いて、
今の自分に言ってあげる、等。
<次回へ続く>
2023/6/2 (金)
何故他人と比べる事で苦しむのか?
<前回からの続き>
前回、
「他人と比べる事で劣等感や嫉妬心が生まれる」
「それによって、”自分が本当は得たいのに今は得られていないもの”を
明確にできる」
「それを目標にして努力や試行錯誤する事が、成長や自己実現=自分の幸せ
に繋がってゆく」
といった私の考えをお書きしました。
もしそうだとすれば、
「他人と比べる事」や「劣等感や嫉妬心」は無くすべきものではなく、
むしろ自分の幸せに繋がるものとして歓迎すべきものと言えるでしょう。
なのに、
何故他人と比べる事で、苦しむ人がいらっしゃるのでしょうか?
今回は私なりに考えるその理由をお書きしたいと思います。
<何故他人と比べる事で苦しむのか?>
A.自分と他人との差異に敏感である
生まれつき、或いはトラウマチックな出来事により、
”違い”(差異)に敏感になり過ぎて圧倒され、差異のみに集中し続けてしまう。
そうなると差異を埋める努力は不可能に思えてしまい、
次々と差異ばかりに目が向き続け、そこから先に進めなくなる
B.思い込みの強さから自分を客観視できていない
(1)「他人は私の事をこう思っているに違いない」等といった
思い込みの強さから自分を客観視できなくなり、
劣等感に集中し続け、そこから先に進めない
(2)「羨ましい!むかつく!」と嫉妬心に集中し過ぎて
自らを省みる事ができなくなり、先に進めなくなる
※これらの状態に陥っている時には、
最早「他人と自分を正確に比べる事さえできていない」と言えるでしょう
C.自分の努力だけでは実現が難しいものを”目標”としてしまっている
例;「世の中の人皆から愛されたい」(=誰も私を嫌わないで!)
「みんな私の事を認めて!」「全ての面で他人に勝ちたい」等々
D.その”目標”を絞り切れていない
他人との違い(差異)のみに集中すると、「あそこもここも・・・」
と自分の改善点が沢山見つかり過ぎて、
「どこから手をつけて良いか?」がわからなくなり結局先へ進めなくなる
E.その”目標”に至る段取りが組めていない
”改善目標”が決まったとしても、
「どうやって改善してゆくか?」「どこから手を付けてゆくか?」
の段取りを組む事ができない
F.いつまでも他人との比較に拘り続けて
”理想の他人”⇒”理想の自分”へと「内在化」できていない
例:野球のイチロー選手が子供時代に憧れていた選手が何人か居たとして
その人達と自分をずっと比べるのではなく、憧れの選手達を統合して
「自分の中の理想像」として取り込み(内在化してる)、
それに向けて努力し続けるからこそ
最早他人と比べる必要が無くなったのでは?と思います。
私が考えるに、
「他人と自分を比べて苦しんでいる人」は
上記の「A」~「F」のいずれか、または複数の要因の組み合わせによるもの
だと思います。
もしそうだとしても、
他人と比べてしまう事で、現に苦しんでいる人は
どうすれば良いのでしょうか?
次回からは、
その苦しみから抜け出す為のヒントをお書きしたいと思います。
<次回へ続く>