Google+ で検索

カウンセリング 大阪府大阪市 心理療法  返金保証 超短期  コーチング

コラム/2021-06

Top / コラム / 2021-06

2021/6/30 (水)

対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)の薬物療法

<前回からの続き>

今回は「対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)の薬物療法」について、
私見を述べさせて頂きたいと思います。

※私は医師ではありませんので、薬物療法について口を挟む立場ではない
 とは思いますし、今お医者さんのお薬で満足されておられる方は記事を
 スルーして頂ければと思います。

 ただ、お薬で余り効果を感じられない方や、そもそもお薬に抵抗がある
 は参考にして頂ければと思います。




<対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)の薬物療法>


①抗うつ薬

通常お医者さんでは、対人恐怖症の第一選択薬として
抗うつ薬SSRI)が処方される事が多いと思います。


対人恐怖症は(お書きしている様に)私の考えでは、

元来、不安・恐怖を感じ易い部分は共通で、

「安心、愛情、繋がり」を求めるタイプの人

「承認、優越感」を求める気持ちが強い人

2種類のタイプがあると考えられます。

 
即ち、

 「N」「(ノル)アドレナリンシステム」(=不安・恐怖・怒り・行動化)
→「S」「セロトニンシステム」(=安心・安定・幸せ・満足)優位型


 「N」
→「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激・承認、優越感等の報酬)
優位型

2種類のタイプ


ここで、SSRIの作用機序としては、

「S」(セロトニン)の再取り込みを阻害し、脳内のその流量を増やす。

→結果として「N」(ノルアドレナリン)や「D」(ドーパミン)を制御し、
 それらの暴走を防ぐ、という事が考えられます。


そうした場合、(私の推論を基に考えますと)

「N」→「S」システムが優位な人にとっては、不安・恐怖が抑えられ、
「S」が得られる訳ですから、効果はあると思います。


一方、

「N」→「D」システムが優位な人にとっては、
不安・恐怖が抑えられるけれども
「D」の”報酬”まで抑えられてしまうので、

もしかしたら
”報酬”を得る為に薬に抗って、脳が「N」システムを活性化し、
(別の?或いは尚一層の?)不安・恐怖を作り出す事も考えられると思います。

②抗不安薬


ベンゾジアゼビン系の抗不安薬も治療に用いられる事が多いと思いますが、

この薬も、抑制系の神経伝達物質であるGABAの働きを強めて
「N」(ノルアドレナリン)や「D」(ドーパミン)を抑制するという効果
があります。

ですから、

上に述べた抗うつ薬と同様に、「N」→「S」システム優位型の人
にとっては効果があると思いますが、
「N」→「D」システム優位型の人には少し疑問を感じます。

③タンドスピロン


これは抗うつ薬等とは逆に、
一時的にセロトニンの合成及び放出を抑制するお薬です。

そしてこのお薬は対人恐怖症に効果がある場合もあります。

それは恐らくセロトニンを抑制する事で、
「N」や「D」に対するストッパーが外れ、

「N」→「D」システム優位型の人にとっては、
「快の刺激・承認、優越感」等の報酬が得られた状態を体感できるから、
それ以上の「N」(不安・恐怖)を必要としない状態になるのでは?
と思います。

※④メチルフェニデート(リタリン・コンサータ)


これは、中枢神経を直接的に刺激し、
「N」(ノルアドレナリン)や「D」(ドーパミン)の再取り込みを阻害し、
それらの流量を増やすお薬です。


この薬に纏わる私の恥ずかしい昔の体験を少しお書きしたいと思います。

当時学生だった私はある考え方に囚われていて、

「自分は誰よりも優秀・特別の人間でありたい」(D)という強い思い
と、
「周りから”変な奴”と思われてるんじゃないか?」(N)という
不安・恐怖を抱え、

典型的な(「N」→「D」システム優位の)対人恐怖があり、
他人の視線が怖くて電車に乗るのも辛い時期がありました。

そんな或る日、友人が「ナルコレプシー」(過眠症の一種)と診断され、
薬を処方されていて、私は興味本位で一錠もらって服んでみました。
(今から思えば恐らく「リタリン」だったと思います)

すると、帰りの電車の車中で「自分は周りの乗客と違い特別な存在だ!
自分は優れている、勝っている!」という高揚感と全能感を感じ、
暫くの間は対人恐怖を感じずに済みました。

(お恥ずかしい話ですし、中枢神経を刺激する薬を勝手に服む事は
 絶対に避けないといけませんが、若気の至りとしてご容赦頂ければ
 と思います)


今から振り返ると、恐らく「N」→「D」システム優位型の私は
劣等感を作り出して、対人恐怖になっていたと思いますが、

「リタリン」によって、速やかに「快の刺激・承認、優越感」
等の報酬が得られた状態を体感できたから
それ以上の「N」(不安・恐怖)を必要としない状態になったのでは?
と分析しています。




※薬物療法は医師の処方によりますので、
 私が書いた事はあくまでも参考程度に留めておいて頂ければ幸いです。



パーマリンク

2021/6/28 (月)

対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント(詳細)③

<前回からの続き>

今回は、
「対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント(詳細)」
の3つ目として

③システムの固定化されたパターンを変える

について前回、前々回お書きした「例」を基にお書きしたいと思います。




③システムの固定化されたパターンを変える

以前お書きした様に、対人恐怖症の方には、

 「不安・恐怖」(N)

「承認・安心という報酬を求める」(D・S)

→その為に不安・恐怖に対して「承認・安心を求める(回避)行動を採る」
(D・Sを求めてのN)

「益々不安・恐怖が増強される」(「N」の増強)
 
といった、固定化されたパターンがあると考えられ、


(1)対人関係以外の違う対象に向けてシステムを起動させる

(2)「N」(不安・恐怖)→「D・S」(欲求)→「N」(回避?行動)
 →「N」の増幅
というシステムのパターンそのものを変える

といった2種類の働きかけが有効ではないか?とお書きしました。

私のその考え方を基にヒントをお書きしたいと思います。




(1)対人関係以外の違う対象に向けてシステムを起動させる




a.対人恐怖以外の「不安」「恐怖」を書き出してみる


「将来結婚できるのか?」「家族や友人等、周りから見下され続ける
  んじゃないか?」

 「一生、うだつが上がらないまま死んでしまうのでは?」・・・等。




b.その中で、最も「不安・恐怖」を強く感じるものを選び、
 その不安・恐怖を突き詰めて考えてゆき、強く実感する。(Nを起動)


例1「もし、結婚できないとしたら・・・ずっと淋しい思いを抱えて生きて、
   結婚して幸せになってゆく友人達とも交流がなくなってゆき、
   最後は天涯孤独になってしまう・・・ああ!~嫌だ!」

例2「このまま会社でも認められず、きっと親父は僕の事を”情けない奴”
   と見放すだろうな・・・クソ!悔しい」




c.本当の自分の望みを書き出す。(D・Sを起動)


例1「本当は素敵な男性と結婚して幸せになりたい!」

例2「本当は会社で認められて、親父を見返してやりたい!」

※ここで大切な事は「他人が”こうあるべき”とか”それはおかしい”
 と思うだろうな」を基準にするのではなく、

 「自分が”こうありたい”とか”これをしたい”とか”これがいい”」
 と感じる事にフォーカスしてゆく事だと思います。




d.再度「不安・恐怖」を意識して、そうならない為の(回避)行動を採る
(D・Sを求めてのN)


例1「天涯孤独は嫌だ!だから結婚しなきゃ!
   まずどうしたらいいかな?・・・
   そうだまずはマッチングアプリに登録しよう!」

例2「親父に馬鹿にされてたまるか!親父を観返す為には・・・
   まず、毎晩明日の仕事の準備をして、成績を上げよう!」

※ここで大切な事は不安恐怖に対する(回避)行動は、
 今すぐできる小さな事から始めてゆく、という事です。



  
(2)「N」(不安・恐怖)→「D・S」(欲求)→「N」(回避?行動)
 →「N」の増幅というシステムのパターンそのものを変える




a.対人関係での自分の「恐怖・不安」、「欲求」、「(回避)行動」
 を書き出す


「私が恐れてるのは・・・私の視線が他人に迷惑かけちゃう事。
  突き詰めれば・・・みんなに迷惑かけて、誰からも受け入れられなく
  なるのが怖い!」

 「私の欲求は・・・みんなから受け入れてもらう事」

 「(回避)行動は・・・他人が視界に入らない様に努力する事
 (でも視界に入って来てしまう)」




b.その(回避)行動が、自分の欲求を叶える為に役に立ってきたか?
 を検討する


「他人が視界に入って迷惑かけない様に努力してきたけど、
  うまくいってない。そしてその努力によって
  みんなから受け入れられたという事は一切なかった・・・」




c.その(回避)行動が、自分の欲求を叶える為に役に立ってきたか?
 を検証する


:家族などに「最近、私の目つきが悪いって友達に言われて、
  迷惑かけちゃったのかな?と気になるんだけど、ちょっと見てみて」
  と家族に協力してもらい、
  父母、兄弟等が視界に入る場所で、(回避)行動を採ってみる。

 「どう?目つきが悪くて嫌な気持ちになった?」
 「別に・・・それよりもあんた最近表情が暗いから心配だわ」




d.自分の欲求を叶える為に、(回避)行動とは違う行動を採る


例「結局、どうあがいても私の視界に他人が入ってきてしまうし、
  目を合わさない様にしていても、みんなから受け入れられてないし、
  お母さんは”別に気にならない”と言ってたし・・・」

 「受け入れられる為の何か別の行動か・・・・。
  そうだ、思い切って視界に入った他人に
  親しみを込めたアイコンタクトを送って行こう」
等々。




以上、ここまで対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)克服のヒントを
お書きして来ましたが、これはほんの一例・一方法にしかすぎませんので、
もし独りで難しい場合はお気軽にご相談下さい。

それでは次回は対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)の薬物療法
についての私見を述べたいと思います。

<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/25 (金)

対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント(詳細)②


<前回からの続き>

今回は、
「対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント(詳細)」つ目
として

②「こだわりの強さ」や「感覚過敏」の方向性を変える

について前回お書きした「例」を基にお書きしたいと思います。




<対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント(詳細)②>

②「こだわりの強さ」や「感覚過敏」の方向性を変える

前回の「例」の場合、この人の対人恐怖のメカニズムとして、

◎目的:悩みを聞いて寄り添ってくれる人を作る
    ※感情の目的は「嬉しい、ホッとしたい」

 =()「セロトニンシステム」(=安心・繋がり・所属と愛の欲求)

◎「こだわり」「感覚過敏」を固定している場所

 :「劣等感」「それを裏付ける相手の反応」


という傾向があると想像できました。


そしてこの固定化されたパターンが(対人恐怖の)システムを
より強化していると考えます。


この考え方に基づいて、「こだわり」や「感覚過敏」の方向性を変え
それを打破するヒントを書いてゆきたいと思います。




a.自分が劣等感を感じる部分が露呈されたと感じた時に、
 相手が予想外の反応をした場面を毎晩書き出す。

''例「今日の発表で頭が真っ白になった・・・」''
 「きっとみんな私の事を笑うだろうな」(予想)

 「あれ?、A子は”苦しそうだったけど、大丈夫?”
  って本気で心配してくれた」(予想外)

劣等感を裏付け”ない”相手の反応へと
 「こだわり」や「感覚過敏」の方向性を変える




b.自分の長所と思える部分をできるだけ沢山書き出す。

 (思いつかなければ、家族や友人、恋人等にも聞いてみる)

「よく気が付いて優しい所」(と母に言われた)、
 「アニメやアイドルの知識が豊富」(と友人に言われた)
 「真面目で頑張り屋」(と部活の顧問に言われた)等々。




c.それらの”長所”を常に意識し、それらが発揮された場面と
 その時の相手(周囲)の反応を見逃さないでおいて毎晩書き出す。

「授業中B子が困ってる様子で、消しゴムを忘れたみたいと気が付いて
  貸してあげたら、”有難う!”ってニコッとしてくれた」

 (長所と、それを裏付ける証拠へと
  「こだわり」や「感覚過敏」の方向性を変える




d.よく接する人を思い浮かべ、その人の「長所」「短所」を書き出す。
 
「C子の長所は・・・私と同じで良く気が付く所と、優しい所。
  短所は・・・これも私と同じで口下手な所、人見知りな所・・・」




e.それを基に、その人の「長所」や「短所」が発揮された時の
 自分の反応(考えや気持ち)を毎晩書き出す。

「今日、C子が落ち込んでた私に気を遣って声を掛けてくれた・・・」
     (有難いな!・嬉しい)

「C子が男子に話しかけられて顔を真っ赤にしてモジモジしてた・・・」
     (可愛いな!・守ってあげたい気持ち)

(”自分の”劣等感やそれを裏付ける証拠に向いていた
 「こだわり」や「感覚過敏」を”相手の”それらへと方向性を変える




次回は
③システムの固定化されたパターンを変える
についてお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/23 (水)

対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント(詳細)①

<前回からの続き>

今回からは、

「対人恐怖症(社交不安障害・SAD)のヒント(詳細)」
をお書きしたいと思います。

(今回は「詳細」①~③のうちのまず①をお書きします)




<対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)のヒント(詳細)①>

①自分(の欲求や不安・恐怖・劣等感等)を客観視する

a.自分の欲求(対人恐怖を克服して「どうなりたいか?」「何をしたいか?」
 を紙に書きます

「私の事を受け入れて欲しい」

b.その欲求をできるだけつきつめてゆき、それも書いてゆきます。

(受け入れてもらったとしたら、どうなりたい?何がしたい?)

 →「そうなったら・・・何でも相談できる人になって欲しい」

 (そんな相手ができたら、どうなりたい?何がしたい?)

 →「そんな人ができたら・・・私が抱えている今の悩みを聞いて
   寄り添って欲しい」

c.それ以上突き詰められなくなったら、そうなった時の自分の気持ち
 を想像してそれも書きましょう

(そうしてくれたら、どんな気持ちになる?)

 →「そうしてくれたら・・・嬉しいし、ホッとする」

d.自分の不安・恐怖も書いてゆきます

「他人から変な奴と見られるのが怖い」

e.不安・恐怖も同様にできるだけつきつめてゆき、それも書いてゆきます

(もし変な奴と見られたら、どうなっちゃうのが怖い?)

「変な奴と見られたら・・・誰からも相手にされなくなるのが怖い」

 (誰からも相手にされなくなったとしたら、どうなっちゃうのが怖い?)

「誰からも相手にされなくなったら・・・寂しくて寂しくて死んじゃいそう」

f.自分が感じている「劣等感」(他人より劣ってる所、嫌いな所)
 も書き出しましょう。

「私の暗い性格」、「口下手な所」、「自分の意見をはっきり言えない」
 「「あがり症」、「ぽっちゃりした体形」、「細い眼と一重のまぶた」
 ・・・。




以上、書き上げたらよく読んで、何を目的にし
自分の「こだわり」「感覚過敏」どこに固定し
どの様な固定化されたシステムのパターンを繰り返してるのか?

を分析してみましょう。

この「例」の場合は、


◎目的:悩みを聞いて寄り添ってくれる人を作る

  ※感情の目的は「嬉しい、ホッとしたい」(S)「セロトニンシステム」
   (=安心・繋がり・所属と愛の欲求)

◎「こだわり」「感覚過敏」を固定している場所
「劣等感」「それを裏付ける相手の反応」

◎固定化されたシステムのパターン

(1)「何でも相談できる人を作って、嬉しさやホッとする安心感
  という報酬を得る」事を目的として(S)「セロトニンシステム」 
 (=安心・繋がり・所属と愛の欲求)が働く

(2)安心を得る為に不安を作り出す事を目的として
 「N]「(ノル)アドレナリンシステム」(=恐怖・不安)」を起動し
 「劣等感」「それを裏付ける相手の反応」に意識を固定する。

(3)その「恐怖・不安」といった”不快”を避ける為の回避行動
 (例「性格を明るくしなきゃ」とか「話し方を勉強しよう」等)
 に注力する(=これも「N」システムの働きによる)

(4)それを繰り返す事で、「N」による恐怖・不安が益々強まり、
 益々「S]を求める傾向も強まり、益々「N」も強まる・・・
 といった固定化された(悪循環の)システムが形成される




以上、自分の傾向がわかれば、それを基に次回は
②「こだわりの強さ」や「感覚過敏」の方向性を変える
についてお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/21 (月)

対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント(概要)

<前回からの続き>


   
今回からは(私の推論に基づいて)、
対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント
をお書きしてゆきたいと思います。



       
前回お書きした様に、
私が思うに「対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)」に陥っている方の特徴
として、

①「安心、愛情、繋がり」や「承認、優越感」を求める気持ちが強いが、
 不安・恐怖も感じ易い人である

即ち、
 「N]「(ノル)アドレナリンシステム」(=恐怖・不安)」
「S」「セロトニンシステム」(=安心・繋がり・所属と愛の欲求)
または

 「N」
「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激・承認、優越感等の報酬)
のシステムが優位な人




②感覚過敏を持ってる(相手の自分へのネガティブな評価を敏感に感じる)




③こだわりの強さを持っている


=一つの欲求不安・恐怖とそれの克服にずっと集中




④劣等感を持っている(または作り出している)




⑤ パターンが固定化される


 「不安・恐怖」

「承認・安心という報酬を求める」D・S

→その為に不安・恐怖に対して「承認・安心を求める回避行動を採る」
                        D・Sを求めてのN

「益々不安・恐怖が増強される」 


 
という5つの要素が考えられます。


要約すれば

<安心、愛情、繋がり」や「承認、優越感」を求める気持ちが強い人が
 その”報酬”(「D」や「S」)を得る為に、「N」システムを起動させて
「劣等感」にこだわって(或いは作り出して)、

 自分(の視線、表情や言動、容姿等)に意識を集中し、
 その部分にのみ感覚過敏を集中し続けている。

 そのこだわり故、パターンが固定化されてしまっている状態>

 であると推測します。

この考え方を基に、その克服のヒントをお書きしてゆきます。




<対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント(概要)>

①自分(の欲求や不安・恐怖・劣等感等)を客観視する


 対人恐怖症の人は(不安障害全般に言える事ですが)
 不安や恐怖に呑み込まれてしまっていて、

 自分=不安・恐怖、

 自分=「劣っている」という状態になっているとも言えるでしょう。

 その主観的な見方を変化させる為には客観視する事が有効
 だと考えられます。




②「こだわりの強さ」や「感覚過敏」の方向性を変える

 「私は劣っている」「私は変だ」「私は誰からも認められない」
  の一つの考え方に拘って、そこにのみ感覚過敏を集中している状態
  だと考えられますので、その方向性を変える事が有効だと考えられます。




③システムの固定化されたパターンを変える

「不安・恐怖」)→「承認・安心という報酬を求める」D・S

→その為に不安・恐怖に対して「承認・安心を求める(回避)行動を採る」
                        D・Sを求めてのN

「益々不安・恐怖が増強される」「N」の増強 

といった、固定化されたパターンに対しては、

(1)対人関係以外の違う対象に向けてシステムを起動させる

(2)「N」(不安・恐怖)→「D・S」(欲求)→「N」(回避行動)
→「N」の増幅、というシステムのパターンそのものを変える

といった、2種類の働きかけも有効だと考えられます。




それでは次回からは

「対人恐怖症(社交不安障害・SAD)のヒント(詳細)」
をより詳しくお書きしたいと思います。


 
<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/18 (金)

対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)のメカニズム

<前回からの続き>

今回は、前回お書きした私の推論に基づいて
対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)のメカニズム
について私見をお書きしたいと思います。

まずそういった症状に悩まされる方の多くには
以下のメカニズムが働いてるのでは?と思います。

①「安心、愛情、繋がり」や「承認、優越感」を求める気持ちが強いが
 不安・恐怖も感じ易い人

 即ち、
 「N」「(ノル)アドレナリンシステム」(=恐怖・不安)
「S」「セロトニンシステム」(=安心・繋がり・所属と愛の欲求)
 や、

 「N」
「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激・承認、優越感等の報酬)

 といった「N]→「S」または「N」→「D」のシステムが優位な人
 であると考えられます。 (恐らく生まれつき)

「誰からも嫌われたくない。みんなと仲良くなりたいなあ~。」
                              (「S」)
 「でも、人前で顔が赤くなる私なんて嫌われるんじゃないかしら・・・」
                              「N」




②感覚過敏を持ってる(恐らく生まれつき?)が故に
 相手の不快な表情や態度に気が付く


「この前私がみんなの前で発表した時、A子は冷たい顔をしてたし、
  B子は馬鹿にした様に笑ってたなあ~。
  C子もきっと”情けない奴”と思ったに違いない・・・
  だからあの後、少しよそよそしい態度してるもんなあ~」
 (感覚過敏




③こだわりの強さを持っている(恐らく生まれつき?)


 一つの欲求や不安・恐怖とそれの克服にずっと集中し続けている状態
 というのは「こだわりの強さ」が根底にあると考えられます。 

 
「みんなから嫌われたくないのに、A子もB子もC子も
  最近では他の子も私に対する接し方が冷たくなってきた気がする・・・
  どうすればいいんだろう?・・・このままじゃ学校に行けなくなりそう」
  と四六時中、不安に集中し続けている




④劣等感を持っている(または作り出している)


 例えば、「相手が私の事を嫌うんじゃないか?」とか
 「馬鹿にしてるんじゃないか?」等は劣等感からくるものと考えられます。

 但し、
「(愛されている)安心を感じたい」とか「(馬鹿にせず)認めて欲しい
 等の欲求を叶える為には前提として「嫌われてるんじゃないか?」
「認められていないかも?」等の「不安」や「劣等感」が必要です。

 ですから特に刺激や欲求を求める傾向が強い人「N」システム
 →「D」システム優勢の人)は不安や劣等感を作り出してでも、
 そのシステムを作動させるのでは?と考えたりもします。


例1:「私はA子みたいに可愛く無いし・・・自分の顔なんて大嫌い!
                           (劣等感)
    きっとみんな私の事を”不細工な癖に”と思ってるんだろうなあ。
                           (感覚過敏)
    きっとみんな心の底では私の事を嫌ってるんだろうなあ・・・
                       (「N」による不安)
    整形したらみんなから好かれるかな・・・」
                       (「S」による欲求)
    という事ばかりを考えている。
                        (こだわりの強さ)

例2:「勉強できない俺の事をみんな馬鹿にしやがって!
            (創り出された?劣等感への集中・こだわり)
    俺を馬鹿にする奴は許さない!
                        (「N」による怒り)
    お前何メンチ切ってるんだよ!
                            (感覚過敏)
    殴られたいのか!?」と喧嘩を吹っ掛ける
                  (「D」による優越感を求めての行動化)

   その行動を繰り返し日々喧嘩にあけくれる不良(ヤンキー)
                          (こだわりの強さ)


※例2の場合は「対人恐怖」とは言えませんが、
 ある意味よく似ていませんか?

 違いは「劣等感を自ら作り出している」事と、

 「不安・恐怖」→「安心を求めた回避」(「N」→「S」)ではなく
 「不安・恐怖」「闘争による勝利を求める」「N」→「D」
 というパターンの違いだと思います。




⑤ パターンが固定化される


 「不安・恐怖」(N)「安心という報酬を求める」
                    (D・S)

→その為に不安・恐怖に対して「安心を求める回避行動を採る」
                 (D・Sを求めてのN)

「益々不安・恐怖が増強される」・・・という様に、

「安心」(報酬)を求めるが故に益々不安が強化されてゆくというパターン
が出来上がっていると言えると思います。


例:「私の一重の目が嫌い・・・きっと可愛くないと思われてるだろうなあ
                            (「N」)
   だからプチ整形して二重にすれば、あの娘みたいになれるかも」
                        (Dを求めてのN)

  「目は整形したけど、鼻筋が通ってないから余計に不釣り合いになった。
   これじゃあ、益々変な顔だと思われちゃう・・・」
                  (新たな不安を作り出す「N」)


  
「④」の例と同様に、「安心」や「優越感・承認・勝利」等といった
 ”報酬”を手に入れるには、「不安や恐怖」「劣等感」に集中したり、
 或いはそれらを作り出さない限りは手に入らないというパターン
 ができてしまう。

 そしてそこには「ドーパミン」「セロトニン」といった報酬が絡むので、
 言ってみれば「ドーパミン」や「セロトニン」依存

 もっと言えば「不安・恐怖」依存「劣等感」依存とも言える状態になる
 のかも知れません。

 だとすれば、
 その依存パターンから抜け出すのが難しくなり固定化するのも頷けます。

 (※やめられない事や繰り返される不快な事=依存には、
   おしなべて報酬系が絡んでいると私は思っています)  

  

◎要するに

「安心、愛情、繋がり」「承認、優越感」を求める気持ちが強い人が

その”報酬”(「D」や「S」)を得る為に、「N」システムを起動させて
「劣等感」にこだわって(或いは作り出して)、

自分(の視線、表情や言動、容姿等)に意識を集中し、
その部分にのみ感覚過敏を集中し続け、  

そのこだわり故、パターンが固定化されてしまっているている状態
とも言えると思います。 




それでは次回は私の推論に基づいて、
対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)克服のヒント
をお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/16 (水)

対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)について

うちのルームにも「社交不安障害」SAD)、所謂「対人恐怖」
に苦しんでお越しになる方も多いです。


その内容も、「スピーチ恐怖」「会食恐怖」「電話恐怖」「視線恐怖」
「書痙」「赤面恐怖」「発汗恐怖」「振戦恐怖」等様々です。


また、
「自分が人を見る視線が相手を不快にしているのではないか」という
「自己視線恐怖」と、それによって正面を見られずに
代わりに周りをチラチラ見てしまうという、「脇見恐怖」に悩んでおられる方
も少なからずいらっしゃいます。

※他にも「自己臭恐怖」、「醜形恐怖」(DSM-5ではこれらは妄想性障害
 または醜形恐怖症と診断されますが)等もここに含まれると思います。

私は、こういった症状で苦しまれておられる方に共通している事
以下の部分ではないか?と考えます。

イ.「他人に対する欲求」や「対人関係における欲求」が強い

  「それを人並にうまくやりたい」
  とか
  「嫌われたくない、迷惑を掛けたくない」

 「他人に受け入れて欲しい、愛して欲しい」という
  「繋がり・所属と愛の欲求」

  「人以上にうまくやりたい、馬鹿にされたくない、
   笑われたくない、見下されたくない」

 「他人に認めて欲しい、勝っていたい」という
  「承認欲求・優越感への欲求」

といった欲求を強く求めている(が叶っていないと感じている)と言える
と思います。

(※他人に無関心でそういった欲求を感じていない人は、
  この様な症状は出ないと思います)




ロ.感覚過敏を有している

 「あの人は私の視線を感じて、迷惑そうな顔してる」

 「私が赤面したら、あの人は馬鹿にした様な表情で一瞬笑った」

等の相手の表情や反応に対する過敏さは「感覚過敏」の傾向を有している
と言えると思います。



 
ハ.「劣等感」を有している

 「イ」の欲求を叶えようとしても「劣等感」によって
  欲求充足への行動が阻止・邪魔されてしまうと考えられます。




ニ.「こだわりの強さ」を有している

  同じ一つの欲求「受け入れて欲しい」とか「認められたい」等)
  にこだわり続け同じ不安にもこだわり続けるが為に
  症状が益々酷くなってゆくと考えられます。



  
ホ.「N」(ノル)アドレナリンシステムと「D」ドーパミンシステム 
  や「S」セロトニンシステムが亢進し続けている

 「欲求充足」については 「受け入れられたい、愛されたい」
 (=「S」セロトニンシステムの”安心”
 や
 「認めて欲しい、勝っていたい」」
 (=「D」ドーパミンシステムの”喜びや優越感”
 を求めていると考えられます。


 また、
 「N」(ノル)アドレナリンシステム「恐怖・不安」
→「(そういった事態を)回避する
とか
 「N」(ノル)アドレナリンシステム「恐怖・不安」
→「闘って(努力して)克服し勝とうとする

 というパターンが出来上がっていると考えられますので、

 元々それらのシステムが優位な人が、「ニ」のこだわりの強さによって
 同じパターンを繰り返す事す事で、益々そのパターンが強化・亢進
 され続けているのでは? と考えます。

それでは次回は、これらの私の推論に基づいて
対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)のメカニズム
について私見をお書きしたいと思います。



<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/14 (月)

境界性パーソナリティー障害を改善するには?~ヒント

<前回からの続き>

今回は

「境界性パーソナリティー障害(以下「BPD」と表記)を改善するヒント」
を私の推測に基づいてお書きしたいと思います。




<BPDを改善するヒント>

①「愛着の修復」を行い「O」システムを活性化する

以前の私の推論でお書きした様に、
BPDの人は「O」(オキシトシンシステム=愛着・愛情・自他信頼)
脆弱であると考えられます。

だとすれば、そこをテコ入れする必要があると思います。


→恋人や親友、家族、難しければ医師やカウンセラー、或いは自分自身を
 愛着対象とし、愛着の修復・形成を行う

(※詳しくは以前のコラムにお書きしています)




②固定化されたパターンを変える

これも以前お書きした様に、

BPDの人は、
「S」「セロトニンシステム」(=安心・安定・幸せ・満足)よりも

「N」「(ノル)アドレナリンシステム」(=不安・恐怖・怒り・行動化)

「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激・喜び等の報酬、)が
優位に働いていて、しかもそれが強化されてしまっていると考えます。

だとすれば、生まれ持っての特性と考えられる「優位システム」
を変える事は難しいと思いますので、そのパターンを変えれば良いのでは?
と推測します。

(即ち、
 「(見捨てられ)不安を基にNシステムが作動」

「相手に勝つ事や、自分の思い通りに支配する快感や不安から逃れて
  スッキリ感を得る事を目的(報酬)として「D」(ドーパミンシステム)
  が働く

 「それを得る手段としてNシステム」によって行動化する」

 という固定されたパターンを変える)

(1)「いつ(誤って)死んじゃうかもわからない」と考えて
  全財産を使うとして、「自分がやってみたい事」
  思いつく限り書き出します。(Dシステムに基づく)


(2) その中で、「不安や恐怖」を感じるものNシステム)で、

  しかもそれをやるには「この野郎!負けてたまるか!」という
  闘争心Nシステム)が必要なもので、

  尚且つ自分次第で結果を左右する事ができるものDシステム)で、

  ”勝利”を得る事を考えたら”ワクワクするもの”Dシステム)
  を選びます。

  ※但し、単発で終わるものよりも継続できる事(ゴールが遠い)
   が良いと思います。


  (例1):「空を飛びたい・・・でも怖いなあ」Dシステム+Nシステム)

     →「でも飛べたら気持ちがいいだろうなあ~」
      スカイダイビングのスクールに申し込む(Dシステム)

     →(本番を迎え)「今から飛び降りるの怖いなあ~でも、
      恐怖に負けてたまるか!」
      と「えい!」と飛び降りる(Nシステムによる行動化)

     →「やったあ~私にもできた!」Dシステム)

     →「でも他の人はもっとうまいから、
      私も宙返りできるようになりたい!」Nシステムによる闘争心
   

       
      
  (例2):「日本一の営業ウーマン(デイトレーダー)になりたい!
       でも私になれるのかな?・・・」Dシステム+Nシステム)
      と、その仕事を始める

     →「初めて1か月だけど全然だめだ・・・でも悔しい!」
      (Nシステム)

     →「よ~し!空いた時間はすべて仕事の勉強に充てよう!」
      寸暇を惜しんで勉強する(Nシステムによる行動化)

     →「段々成績が上がって来たぞ!」Dシステム)

     →「でも、上には上が居る・・・絶対成り上がってやる!」
      (Nシステム)

     →「みんなから一目置かれる存在になれば、
       メッチャ嬉しいだろうなあ」Dシステム)




③自分にとっての各システムの最適な配分を知り、
 それに則ったパターンを作り上げる

いくら「S」(セロトニンシステム)よりも
「N」「(ノル)アドレナリンシステムや「D」(ドーパミンシステム)が
優位だとしても、
「S」システムを全く必要としない人はいない筈です。


ですから、自分にとって最適な配分を知る為に
3つのシステムが働く様にアバウトなスケジュールを立ててみる
のが良いと思います。


例:毎週木曜日はボクシングジムへ行くNシステム+Dシステムの時間)

  毎夜カラオケに行くDシステムの時間)

  一日3回お気に入りの入浴剤を入れたお風呂に入り
  お気に入りの音楽を聴くSシステムの時間)

  昼食後バトルゲームをするNシステム+Dシステムの時間)

  お酒を飲みながら韓流ドラマを観るSシステムの時間)

等と、自分で「N」「D」「S」の時間配分を色々変えて試してみて
一番しっくりくる配分をベースにして(中身は適宜変える)
スケジュールを組んでみるのもいいでしょう。

ライフワークとしては(私が思いつくまま書きますと)

「ダンスの指導者を目指す」

「ブレンダーのチャンピオンを目指す」

「ブリーダー」

「プロゴルファー」

「ボランティアリーダー」

「eスポーツ選手」

「プロギャンブラー」等、

「感覚過敏」「刺激を求める傾向」を活かす方向性であれば、
何を目指して良いと思います。

不安や恐怖を感じやすいが、持ち前の「負けん気」、「「コントロール力」、
「こだわりの強さ」とことん結果や勝負にこだわってゆけば、
その道で成功する可能性は高いと思います。

<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/11 (金)

境界性パーソナリティー障害は何故薬物療法が難しいのか?

<前回からの続き>

お医者さんで「境界性パーソナリティー障害」とみなされた場合は、
及び腰になられるドクターもいらっしゃると思います。

(勿論、カウンセラーや心理士の方々もですが)


それは精神科や心療内科は主に薬で治療する場所ですが、
「境界性パーソナリティー障害」薬物療法が大変難しいからだと思われます。

以下に、私なりに想像したその理由をお書きしたいと思います。




<境界性パーソナリティー障害には薬物療法が難しい理由>




①境界性パーソナリティー障害(以下「BPD」と表記します)の人は
 「O」(オキシトシンシステム)が脆弱であると考えますが、
 それを補填する薬剤が無い

(オキシトシン点鼻薬などもありますが、一時的な効果に過ぎない)




②BPDの人は、元来刺激を求める傾向が強く
「N」システムと「D」システムが優位
 しかもその傾向が強化されてきたと考えられます。

 だとすれば、
 それらのシステムを抑える方向性の「抗うつ薬」
      (「S」を活性化=「N」「D」を抑制したり、
       「S」と{N」のみ活性化し、「D」を抑制)
 や

 「抗不安薬」(抑制系のGABAの活性化を高め、
        結果として「N」や「D」が抑制される)
 や

 「抗精神病薬」「D」システムを抑制する)
 は、
 刺激(「N」や「D」システム)を抑える方向で作用します。

 そうなれば、
 薬が効きすぎると「空虚感」(刺激を得られない状態)に襲われて
 何もする意欲が湧かなくなったり、

 逆にその現状を打破する為に、自傷やこきおろし、脅し等の
 いつもの刺激を得るパターンをより求めてしまうかも知れません。

 かと言って、
 「N」や「D」システムを活性化するメチルフェニデート系の薬剤
 (コンサータやリタリン等)を投与しても、

 それが呼び水となってより「いつものパターンでの刺激の満たし方」が
 強くなる事も考えられます。




③その人の各システムの割合に合致させる事が難しい


「S」「N」「D」の各システムの最適な配分
BPDに悩んでいる個々人毎に違うと思います。
(Aさんは「2:4:4」が最適で、Bさんは「1:4:5」が最適等)

しかも同じ個人の中でも最適な割合
年齢や経験、出来事、ライフイベント等で時々刻々と変化してゆく
と想像しますので、

薬剤ではそこまで微妙な変化に合わせる事は大変難しいと思いますし、
第一、薬同士が拮抗してしまうと思います。

更に一日の中でも「D」システム優位な時間(例:自由な時間)
N」システムを活性化しないといけない時間(例:仕事中)
「S」システムを活性化しないといけない時間(例:休日)等の
個人の生活リズムに合わせる事は薬ではほぼ不可能だと思われます。




④薬剤では「N」「D」システムの固定化されたパターンを
 変える事ができない


例えば、
元々刺激を求める傾向(「N」「D」システム)が強く
ギャンブルでそれを満たそうとするパターンが固定化された、
所謂「ギャンブル依存症の人に、

「N」「D」システムを抑制すればギャンブル依存症が治るのか?
と考えてみればおわかり頂けると思いますが、

システムの固定化されたパターンを薬剤で変えるのは非常に難しい
だと思います。

(仮に薬が効いたとしても、薬を服用する方向へシステムのパターンが固定
 されてしまうと、薬に頼ってしまう事になる可能性もあると思います)




次回は、
それではどうすれば「BPD」を改善できるのか?
のヒントをお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/9 (水)

境界性パーソナリティー障害になる4つの要因

<前回からの続き>

今回は、前回までの私の”推論”に加えて、

境界性パーソナリティー障害の人(以下BPDと表記します)は
「何故システムのパターンが固定化されてしまい、
 それを延々と繰り返すのか?」

そして、
「何故どんどんそれがエスカレートしてゆくのか?」
という問いに対する私なりに考える答えも併せて、

「BPDになる4つの要因」としてまとめたいと思います。




<BPDになる4つの要因>




①幼い頃の養育者(主に母・父)からの虐待や見捨てられ体験(環境因)


→これはお書きした通り「心の傷」を作ったり、
「見捨てられ不安」にシステムのパターンが固定されるきっかけになる
と思います。

更に「愛着形成」が成されず、
「O」オキシトシンシステム=安心・安全・愛着等)が確立されず
(自他への)「基本的信頼感」も得る事ができなかったと想像されます。

加えて、
自分を振り回し、支配・コントロールする養育者をモデルにして
刺激を満たすやり方を学んだとも考えられます。

(自分にとっては苦痛・不快だが支配・コントロールする親にとっては快感)




②感覚過敏(先天的な器質因?)


→親が帰って来ない事や「また叩かれるんじゃないか?」
「傷つけられるんじゃないか?」といった事にとても敏感な気質
を有していると考えられます。

ですから、
大人になってからも彼氏のちょっとした言動に不安を感じてしまう
のではないでしょうか?

(鈍感な気質の人なら、そこまで不安に襲われないのでは?と思います)

※この「感覚過敏」については生まれ持っての気質・傾向なのか、
 養育環境によってそうなったのかは、不明です




③こだわりの強さ(先天的な器質因?)


→相手(恋人?)が変わっても「見捨てられ不安」を基に、
 「理想化」「こきおろし」「脅し」「相手を支配・コントロールする」
 という事を目標にした刺激の満たし方を繰り返す部分を見るにつけ、

 これは「こだわりの強さ」から来る常同行動ではないのか?
 と考えてしまいます。

 (その推測が当たっていれば)だからこそシステムのパターンが固定
 されてしまうのでは?と考えます。




④刺激を求める傾向の強さ(先天的な器質因?)


「理想化」「こきおろし」「脅し」「自傷行為」等の「行動化」は
 本人にとってはとても刺激的な事だと思います。

 単に「こだわりが強い」だけでは、そこまで刺激の渦の中に身を置く事は無い
 と感じます。

 よって、恐らく生まれつき「刺激を求める傾向が強い」気質を有している
 のでは?と考えます。



 
ここまで私が考える「BPDになる4つの要因」をお書きしましたが、

それでは何故BPDの人はその行動がエスカレートしてゆくのでしょうか?

(BPDの人の自殺率は比較的高いとされています)

私が思うに、

「③」の「こだわりの強さ」から、
「見捨てられ不安」→「理想化」「こきおろし」「おどし」「自傷」
といったシステムのパターンが固定化される

反面、「④」の刺激を求める傾向があるのに、
固定化されたパターンの中でしか行えない

同じパターンの中で刺激を満たそうとすると馴化(慣れ)が生じ
より強い刺激で無いと満足できなくなる

よって、「こきおろし」「脅し「「自傷行為」等の「行動化」は
エスカレートしてゆく、と推測します。




次回は、

「境界性パーソナリティー障害は何故薬物療法が難しいのか?」
というテーマでお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/7 (月)

境界性パーソナリティー障害のメカニズム

<前回からの続き>

今回は前回取り上げた架空のA子さんを例にして、

何故その様なパーソナリティー(人格)が形作られたのか?
を私なりの解釈でご説明したいと思います。




①「O」(オキシトシンシステム=愛着・愛情・自他信頼)が脆弱

A子さんの母親は所謂「育児放棄」をしていました。

それ故、A子さんと母親との間では「愛着形成」がきちんとなされずに
「愛しい人(母→そして母をモデルにした恋人)は私を愛してくれる筈だ」
とか

「私は愛しい人(母→そして母をモデルにした恋人)に愛されるに違いない」

といった自他への基本的信頼感が育まれなかったと考えられます。


※人によっては生まれつきオキシトシンシステムが脆弱な人もいる様です
 (=このケースでは母親?)




②「S」「セロトニンシステム」(=安心・安定・幸せ・満足)
 が優位には働かない傾向がある(または脆弱である)

A子さんの母親は家に帰って来ない日も増え、
A子さんは「安心・安全・幸せ」を感じる事があまりなく
常に(見捨てられ)不安を感じていたのだと思います。

それ故「セロトニンシステム」が脆弱になったと考えられます。


但しA子さん「寂しい夜はお布団を被って寝よう」
とか
「ぬいぐるみとお話しよう」等の
「セロトニンシステム」を作動させるタイプではなく

母親に愛される事を求めて、夜のお店へ訪ねて行ったり
母親を理想化し、
「もっといい子になったら大好きなお母さんは帰って来るかも?」
とか

「お母さん可哀相!・・・私が助けてあげなきゃ!」
等といった、

「不安」→「D」(母を自分の理想通りの人にする事を報酬とする)
+「N」(その為の意欲・行動)
といった、

「N」と「D」システムが生まれつき優位なのでは?
と思わせるエピソードが見受けられます。




③「N」「(ノル)アドレナリンシステム」(=不安・怒り・行動化)
 と
 「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激・喜び等の報酬)
 が優位に働いていて、しかもそれが強化されてしまっている

高校生頃からのA子さんは母親とバトルを繰り広げたり、
リストカットしたり、薬を大量に服んだり(O.D)といった
行動化にますます拍車がかかっています。

推測するに、


(1)
「(見捨てられ)不安」を基に「N」「(ノル)アドレナリンシステム」
 が作動する


(2)
「相手に勝つ事や、自分の思い通りに支配する快感」
理想化こきおろし脅し
 や
「不安から逃れてスッキリ感を得る」
自傷行為等)
 事を目的(報酬)として「D」(ドーパミンシステム)が働く


(3)
それを得る手段として
「N」「(ノル)アドレナリンシステム」による「行動化」
(実際に相手へ怒り・非難暴言をぶつめたり、脅したり、自傷行為をする等)
 が繰り返される


(4)
相手を思い通りに支配する事ができれば、
本来であれば「幸せ・満足」といった「S」(セロトニンシステム)や、
「愛してる・愛されてる」といった「O」(オキシトシンシステム)へ
移行する筈ですが、

元々「N」と「D」が優位(刺激を求める傾向が強い)で、
しかもそれが強化されてきたと考えられますから、
退屈な「S」を求める事ができず

しかも「O」システムは幼児期から形成されていないですので、
蜜月は長く続かず相手との関係が穏やかになったと感じればそれを破壊し、
刺激に満ちた状態を自ら作り上げるのではないでしょうか?


そして、そのパターンが固定されどんどん強化されていったのが
「境界性パーソナリティー障害」ではないか?と考えます。




そう考えると、

「お母さん一緒に遊んで!」

「お母さん忙しいから、また後でね!」

「いやだいやだ、今すぐでなきゃ!」

と怒ったり泣いたりする様などこにでもいる様な「少しわがまま」で、
少し「NシステムとDシステムが優位」な子が、
母親との関係で「愛着形成」がなされずに見捨てられ不安を抱えるに至り、

「相手に勝つ事や、自分の思い通りに支配する」という事でしか
報酬を得られない(元々優位な「NシステムとDシステムが満たされない)
といったシステムのパターンが固定されしまったともの考えられます。

ただここで、
「それでは何故システムのパターンが固定化されてしまい、
それを延々と繰り返すのか?」

そして、
「何故どんどんそれがエスカレートしてゆくのか?」
という疑問が生じます。

私なりに考えたその答え
次回「境界性パーソナリティー障害になる4つの要因」
としてお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/4 (金)

境界性パーソナリティー障害~A子さんの例

<前回からの続き>

A子さんの両親はA子さんが幼い頃に離婚し、
A子さん母親に引き取られました。

母親はA子さんを育てる為に夜のお店で働いており、朝起きられずに
保育園の送り迎えだけしてくれる祖母が置いていったパンとミルクの朝食を
A子さんいつも独りで摂っていました。


A子さんが小学校に上がった頃には母親は帰って来ない日もでてきて、
不安と寂しさに耐えられなくなったA子さん
母のお店へ訪ねて行ったこともありました。
(見捨てられ経験・不安)

でも、店に現れたA子さんを見た母親「何で来たんだよ!早く帰れ!」
烈火のごとく怒りはじめ、A子さんを追い払いました。


そのうちに母の外泊は増えて、たまに帰って来てもの機嫌がいい時は
「これで好きなものでも買って」とお金を渡してくれましたが、
(理想の母)

機嫌が悪いと「あ~、お前なんか産むんじゃなかった!」こき下ろし
母親はA子さんに暴力を振るったり、(虐待体験)
「もう死にたい」とか「一緒に死のう」等と言われる事もありました。

その頃の母親には男の人が居たのかも知れません。


そして当時のA子さん「私のせいでお母さんは苦しんでる」
「良い子でなくてごめんなさい!」という気持ち(=自己否定

「もっといい子にならなきゃお母さんは帰って来ないかも?」
という気持ち(見捨てられ不安)と

「お母さんは怖いけど優しい所もある。お母さんが大好きなのに・・」
という気持ち(理想化)と

「お母さん可哀相!・・・私が助けてあげなきゃ!」
という気持ち(=共依存的な優しさ)が複雑に絡まり合っていました。


やがてA子さんが高校生になった頃には、
母親は男の人と一緒に住んでいた様で、たまに帰って来ると
「あんたまだ生きてたんか?!」等と
等とA子さん邪魔者扱い(=こき下ろし)したり、

猫なで声で「お前の事は大切に思ってるよ!お母さんピンチやから
バイト代貸してくれへんか?」と言う事もありましたが、

A子さん「嫌だ!」と言うと「誰のお陰で生きて来れたんや!この恩知らず!」
母親から暴言・暴力を浴びせられることもありました。(こきおろし)


でも、
この頃のA子さんはそんな母親反発
「お前こそ死ね!」(=怒り・こき下ろし
と反撃をする様になっており、
時に母親首を絞めたり殴り合いのけんかになる事もありました。

ただ、独りの時にはA子さんリストカットをしたり、
壁に穴を開けたり、風邪薬を大量に服んだりもする様になっていました。
(=そうするとスカッとするといった快の刺激


そんなA子さんにも彼氏ができました。

付き合い始めの頃は「大好き!」と彼に気を遣っていましたが(理想化)
段々慣れて来ると、彼氏のLINEの返信が少しでも遅かったり、

「今日は友人と遊ぶ」等とA子さんと会う事よりも、
そちらの方を優先しようとするものなら
「私の事どうでもいいんか?!最低な男やな!」(こき下ろし)
暴言・暴力を彼に浴びせる様になりました。


でも、彼氏A子さんが喜ぶ様なプレゼントを渡すと、
A子さん「大好き!この前はゴメンね!」と腕を組んで甘えてきます。
(理想化)


彼氏
「一体どっちが本当のお前なんだよ?この前あんなに暴言吐いてたのに・・」

A子さん
「え?!私カーっとなった時の事は余り覚えてないの」とケロっとしています。(解離)


そんなことが繰り返された挙句、
やがて彼氏は段々A子さんと距離を取ろうとしてきました。

A子さん「今から死ぬ!」と彼にLINEを入れる事も増え、
(見捨てられ不安からの脅し・試し行動)
彼氏も益々A子さんの事を鬱陶しく思うようになり、

A子さんのLINEをスルーする事も増えたある日、
A子さん「本当に今から死ぬから・・・」とLINEし、
(見捨てられ不安からの脅し)

手首を切って救急車で運ばれました。


そんな事もあって彼氏とは音信不通になり、
その後A子さん次々と3人の男性と付き合いましたが、
同じ様なパターンを繰り返し続けました。(衝動性)




次回はこのA子さんを例にして、
前回述べた私の推論である4つのシステムの面から
見てゆきたいと思います。


<次回へ続く>



パーマリンク

2021/6/2 (水)

境界性パーソナリティー障害について

<前回からの続き>

今回からは「境界性パーソナリティー障害」(=BPDボーダー
についてお書きしたいと思います。




私の考えを申しますと「境界性パーソナリティー障害」の人は
「O」「オキシトシンシステム」(=愛着・愛情・自他信頼)

「S」「セロトニンシステム」(=安心・安定・幸せ・満足)

「N」「(ノル)アドレナリンシステム」(=不安・恐怖・怒り・行動化)

「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激・喜び等の報酬)

4つのシステムうまく機能していない又は脆弱であったり、
或いは偏ったパターンが出来上がってしまっているのでは?と考えます。




ここで、診断基準であるDSM-5に沿ってこの4つのシステムを当てはめて
私なりの見解をお書きしたいと思います。

①不安定な対人関係,自己像,感情(すなわち,感情の調節不全),
 および顕著な衝動性の持続的なパターン。

 この持続的パターンは以下のうちの5つ以上により示される。




(1)見捨てられることを避けるため必死で努力する
  (=見捨てられ不安が強い)


<私見>

「O」(=愛着・愛情)を強く求めながらも「O」システムが脆弱である

 加えて「N」システム(=不安・恐怖)と
「D」システム(=快の刺激・喜び等の報酬、) の働きが

「見捨てられ不安」→「愛される事(=報酬)」
というパターンに固定されている




(2)不安定で激しい人間関係をもち,相手の理想化と
   低評価(脱価値化=こき下ろし)との間を揺れ動く


<私見>

「O」システム(=愛着・愛情)を強く求めながらも「O」が脆弱である

+「D」システム(=快の刺激・喜び等の報酬、)による「理想化」

→相手が理想に近づくと
「D」から「S」システム(=安心・安定・幸せ・満足)が優勢になり
”刺激”が減少する

刺激不足を補う為に「N」システム(=不安・恐怖・怒り)を起動し
 相手をこきおろす 

相手の操作・支配を報酬とする「D」システム起動

 というパターンが繰り返される




(3)不安定な自己像または自己感覚


<私見>

「O」(=愛着・愛情)が脆弱な為、基本的信頼感(自他への)が希薄であり、
自我も未発達




(4)自らに害を及ぼしうる2領域以上での衝動性
 
  (例,安全ではない性行為,過食,向こう見ずな運転)


<私見>

「S」(安定・安心)より「D」(刺激)が優勢

そして「D」の”報酬”のパターンが固定されている




(5)反復的な自殺行動,自殺演技,もしくは自殺の脅しまたは自傷行為


<私見>

「N」による「不安・絶望・怒り」

「苦しみからの解放」「相手の操作・支配」”報酬”とする
「D」が起動されるパターンが固定されている




(6)気分の急激な変化(通常は数時間しか続かず数日以上続くことはまれ)


<私見>

「S」(安心・安定)よりも「N」(不安・怒り)
「D」(快の刺激・報酬)が優勢




(7)持続的な空虚感


<私見>

「O」(愛着・愛情・自他信頼)の脆弱性




(8)不適切な強い怒りまたは怒りのコントロールに関する問題


<私見>

「S」(安心・安定)よりも「N」(不安・怒り)が優勢




(9)ストレスにより引き起こされる一時的な妄想性思考
   または重度の解離症状


<私見>

特に「解離」については、本来は「安心・安定」を求める傾向があるのに
「S」(安心・安定)が脆弱な為に、
強い「N」(不安・怒り)に完全に乗っ取られた状態

 ※例:ジェットコースターに乗った場合、

  元々「S」(安心・安定)よりも「N」(恐怖)を求める傾向が強い人や
 「S」も「N」もどちらも強い人は大丈夫だが、

 「安心・安定」を求める傾向が強いのに、
  それをもたらす「S」が脆弱だと失神(一種の解離)してしまう
 のと同じなのかも知れません




これらの私の推測が当たっていたとすれば、

「境界性パーソナリティー障害」の人の特徴として
以下の様にまとめる事ができると思います。

①「O」「オキシトシンシステム」(=愛着・愛情・自他信頼)が脆弱である



②「S」「セロトニンシステム」(=安心・安定・幸せ・満足)
 優位には働かない傾向がある(または脆弱である)


③「N」「(ノル)アドレナリンシステム」(=不安・恐怖・怒り・行動化)
 
 「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激・喜び等の報酬、)が優位に働き、
 しかもそのパターンが固定している




次回は、「境界性パーソナリティー障害」と思しき架空のA子さんの例
をお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



パーマリンク

powered by HAIK 7.0.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. HAIK

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional