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コラム/2023-03

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2023/3/31 (金)

統合失調症⑨(一般的に考えられている)考えられる原因

<前回からの続き>

今回からは
「統合失調症」の原因(と考えられるもの)
についてお書きしてゆきたいと思います。

統合失調症の原因は、今現在はっきりとわかっておりませんので、
様々な仮説があります。

ただ、共通している考え方としては、
遺伝要因+環境要因の相互作用ではないか?という点です。

今回は、現在の主流となっている仮説をお書きしたいと思います。




<統合失調症の原因(と考えられているもの)

統合失調症の原因は、今のところ解明されていないが、

①脳の発症脆弱性
 (遺伝要因、妊娠や出産時の障害、社会的な環境要因、人格の発達過程等
 多くの要因が関係しあって形成されると考えられている)
に加えて、


②心身両面からのストレス

とが関係しあって発病するという考え方(脆弱性-ストレス仮説)
が最も広く受け入れられている。


このうちの発症脆弱性は、
「脳の神経伝達物質の機能障害」との関係が明らかになりつつある。


この「脳の神経伝達物質の機能障害」とは、
ドーパミンによって情報を伝達している神経経路の1つである中脳辺縁系で
ドーパミンが過剰に放出されていると、
幻覚や妄想などの陽性症状が引き起こされるとされている。

そして逆に中脳皮質系の神経経路でのドーパミンの伝達低下によって
意欲減退、感情鈍麻等の陰性症状や認知機能障害が引き起こされる
と考えられている。(ドーパミン仮説)

他にも
セロトニンの過剰が陰性症状の発現と関連しているのではないか
とも考えられている。(セロトニン仮説)

更には
NMDA受容体を介したグルタミン酸機能の低下で
統合失調症の陽性症状/陰性症状のどちらも説明できるので、
それが原因ではないかという説も出てきている(グルタミン酸仮説)




次回からは私が考える「統合失調症」の原因(私論)
をお書きしたいと思います。
※あくまでも私の想像に過ぎませんが。



<次回へ続く>



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2023/3/29 (水)

統合失調症⑧誤診されやすい疾患

<前回からの続き>

今回は「統合失調症」と誤診され易い疾患をお書きしたいと思います。




<「統合失調症」と誤診され易い疾患>

①「短期精神病性障害」

幻覚や妄想など統合失調症に似た症状がみられるが、
長くても1ヵ月程度の短期間で回復する(※要経過観察)

②「統合失調症様障害」


統合失調症に似た症状が1ヵ月以上続き、
その後6ヵ月未満で治るもの(※要経過観察)

③「妄想性障害」


1つまたは複数の誤った強い思い込み(妄想)があり
それが少なくとも1カ月間持続する
統合失調症の他の症状(例えば、幻覚、支離滅裂な発言や行動)は伴わない

④「統合失調感情障害」


幻覚や妄想といった統合失調症に似た症状と、抑うつ状態や躁状態
といった気分障害の症状が同時にみられる

⑤「双極性障害(躁うつ病)」


統合失調症思考に従って症状が発症する

躁うつ病気分に思考に従って症状が発症する

統合失調症=陽性症状と陰性症状の状態の間に、
      正常な状態に回復することは無い

躁うつ病=躁とうつの状態の間には、
     正常な状態に一旦回復する

※⑥「うつ病」

最近では陽性症状が目立たなく、
陰性症状を主とする統合失調症も増えているという報告があり、
うつ病と誤診される事もある。




いずれにしても、統合失調症に用いられる「抗精神病薬」は強い薬ですので、
誤診を避ける為にもセカンドオピニオンを求められた方が良いと思います。

それでは次回からは「統合失調症」の原因(と考えられるもの)について
お書きしてゆきたいと思います。



<次回へ続く>



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2023/3/27 (月)

統合失調症⑦診断基準

<前回からの続き>

今回は
「統合失調症」の診断基準についてお書きします。

「統合失調症」等の精神疾患の診断は医師(精神科医)が行いますが、
診断の基準としているのは、

多くの場合は、
米国精神医学会が定めた「DSM(-5)」

世界保健機関(WHO)が定めた「ICD(-11)」に基づきます。


今回はこのうちの「DSM-5」に従った
「統合失調症」の診断基準をお書きします。




<統合失調症の診断基準>

A.以下のうち2つ(またはそれ以上)、
 各々が1ヶ月間(または治療が成功した際はより短い期間)
 殆どいつも存在する。

これらのうちの少なくとも1つは以下の(1)か(2)か(3)である。

(1)妄想

(2)幻覚

(3)まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)

(4)ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動

(5)陰性症状(すなわち感情の平板化、意欲欠如)

B.障害の始まり以降の期間の大部分で、仕事・対人関係・自己管理等の面で
 1つ以上の機能のレベルが病前に獲得していた水準より著しく低下している
 (または小児期や青年期の発症の場合は
  期待される対人的・学業的・職業的水準にまで達しない)

C.障害の持続的な徴候が少なくとも6ヶ月間存在する。

 この6ヶ月の期間には基準Aを満たす各症状(即ち活動期の症状)
 少なくとも1ヶ月(または治療が成功した場合はより短い期間)存在
 しなければならないが、
 前駆期または残遺期の症状の存在する期間を含んでもよい。

 これらの前駆期または残遺期の期間では、障害の徴候は陰性症状のみか、
 もしくは基準Aにあげられた症状の2つまたはそれ以上が弱められた形
(例:奇妙な信念、異常な知覚体験)で表されることがある。

D.統合失調感情障害と抑うつ障害又は双極性障害、精神病性の特徴を伴う
 が、以下のいずれかの理由で除外されていること。

(1)活動期の症状と同時に、抑うつエピソード・躁病エピソードが
   発症していない。

(2)活動期の症状中に気分エピソードが発症していた場合、
   その持続期間の合計は、疾病の活動期および残遺期の持続期間の
   合計の半分に満たない。

E.その障害は物質(例:乱用薬物,医薬品)又は
  他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。

F.自閉スペクトラム症や小児期発症のコミュニケーション症の病歴があれば

統合失調症の追加診断は顕著な幻覚や妄想が
その他の統合失調症の診断の必須症状に加え、
少なくとも1カ月(又は治療が成功した場合はより短い)存在する場合 
 にのみ与えられる。




次回は「統合失調症」誤診され易い疾患をお書きしたいと思います。



<次回へ続く>



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2023/3/24 (金)

統合失調症⑥回復期の症状の特徴~具体例

<前回からの続き>

今回は
「統合失調症」回復期に多く見られる”症状”についてお書きします。




(4)回復期に多く見られる症状

「統合失調症」回復期とは、急性期の脳の過覚醒によって疲弊した心身が、
休息期の低覚醒を経る事によって消耗したエネルギーが少しずつ回復し、
徐々に意欲が戻ってきて行動範囲が拡がり、
周囲の出来事に関心が持てるようになってくる時期と言えます。

但し、多くの場合はまだ陰性症状や認知機能障害が残っています


ここで言う「認知機能障害」とは、
注意力や物事の捉え方・考え方、記憶力、情報処理・問題解決能力の低下
等を意味します。


つまり、
まわりで起きている出来事をキャッチし、置かれている状況を理解し、
どう対応するかを考えたり準備したりする、

或いは、
経験から学んだり、それを他の場面に生かすことが難しくなっている状態
と言えるでしょう。

「認知機能障害」の例


不要な刺激が気になり、考えがまとまらず、混乱しやすくなる


複雑な状況や変化に弱く、ついていくのが難しくなる


ひとつのことに注意を集中することが難しくなる


一度に憶えられる量が限られてくる


以前の経験を今に生かすことが難しくなる


言われた事を、忘れやすくなる


同時に2つ以上のことをするのが難しくなる




次回は「統合失調症」診断基準についてお書きしたいと思います。

<次回へ続く> 



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2023/3/22 (水)

統合失調症⑤休息期の症状の特徴~具体例

<前回からの続き>

今回は
「統合失調症」休息期に多く見られる”症状”についてお書きします。




(3)休息期に多く見られる症状

「統合失調症」休息期とは、

交感神経が過度に興奮し、いわゆる過覚醒状態が続く急性期において
疲弊した心身を休ませる為に、副交感神経の働きによって、
極端な低覚醒状態に脳が導く段階だと言えるでしょう。

その為、感情の起伏が無くなり、思考力や集中力も落ちて、
自分で何かを行う事ができずに、ずっと寝ていたり他人との交流も
できなくなり、引きこもり状態になる等、
本来あるべき機能がなくなってしまいます。

こういった休息期の症状を”陰性症状”と言います。


よくある陰性症状としては、


・意欲減退:自発的な目的に沿った行動が減少し、
      好きだった事に対してもそれをする意欲や気力がわかなくなる


・感情鈍麻や平板化:喜怒哀楽が乏しくなる、顔の表情がなくなる、
 視線を合わせることがない、感情表出時の身振り手振りといった
 ジェスチャーが減少


・連合弛緩:思考力が低下して、思考のまとまりが悪くなる


・思考低下:思考力が低下して会話がへる


・コミュニケーションの低下:会話がへる、他人と関わりを持たず引きこもる


・快感消失;過去に体験した喜びを想起する能力の低下




次回は
「統合失調症」「回復期」に多く見られる”症状”についてお書きします。


<次回へ続く> 



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2023/3/20 (月)

統合失調症④急性期の症状の特徴~具体例

<前回からの続き>

今回は
「統合失調症」の急性期に多く見られる”症状”についてお書きします。




(2)急性期に多く見られる症状

幻覚(特に幻聴や幻視)や妄想自我障害をはじめとする
”陽性症状”が強くなる


”意味”を見出さないとその混乱から脱出できないので、
脳はそれらに意味付けをしてゆく

たとえば、
「あのバイクの音や通りすがりの人の咳は、きっと私を馬鹿にしてるからだ!」

「でもみんなが私の事を知ってるのは何故か?・・・
 私の知らないネット上で、私のプライベートな情報が拡散してるのかも?
 ・・・いやきっとそうだ!」

 等と疑惑が確信に変わる
  
この段階で”病識”は無くなってゆく
 (これは全て事実だ!絶対に~に違いない!)


幻覚の例(幻聴):


「自分への悪口が聞こえる」


「〇〇しろ!と常に命令する声が聞こえる」


「隣人が誰かに自分の事を”今、SNSを見てます”等と逐一報告してる
  のが聞こえる」


「誰かが話しかけてくるので、それに応えて会話してるんです!」


「私が何かを考えると同時に誰かがその考えを
  そっくりそのまま言ってきます」

幻覚の例(幻視):


「壁の模様が動き出して、意味のある絵や文字に変わってゆく」


「どこに居ても壁や天井のシミに”死”という文字が浮かび上がる」


「血管が皮膚の下でミミズの様にウネウネと動くんです!」


妄想の例:


・被害妄想「電磁波で攻撃をされている」


・迫害妄想「ホームで電車を待ってると後ろから突き落とされる」


・関係妄想「近所の人が全員自分を馬鹿にして笑っている」


・注察妄想「いつ覗いても、家の外に私を見張っている車が停まっている」


・追跡妄想「出かけるといつも誰かに後をつけられている」


・誇大妄想「私は神だ!自分は特別な存在だ!」

更には、
自分と他人の境界がわからなくなって、
誰かにコントロールされているような感覚(自我障害)
が見られることもよくあります。


自我障害の例:


・思考吹入「他人の考えが勝手に入ってきて、その人の考えを吹き込まれる」


・思考奪取「自分が考えている事が他人に抜き取られてしまう」


・考想伝播「自分の頭の中で考えてる事が相手にわかってしまう」


・作為体験「他人に操られている」




次回は
「統合失調症」「休息期」に多く見られる”症状”についてお書きします。

<次回へ続く> 



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2023/3/17 (金)

統合失調症③前駆期の症状の特徴~具体例

<前回からの続き>

今回は
「統合失調症」前駆期に多く見られる”症状”についてお書きします。




(1)前駆期に多く見られる症状

感覚(特に聴覚や視覚)が過敏になり、
普段気にならない周りの音や雰囲気、人の表情・仕草・発する声や音
等に敏感になる。

(恐らく何らかのストレスが誘引になっていると思われる)


例:夜、自宅でくつろいで居ると、バイクや車の急発進する音が
  いつも以上に気になった。

  それが何度か続くと
 「これは自分に向けての何かのサインではないか?」
  等と気になってしまう。

  また、道を歩いている時に、すれ違う人が”ゴホン”と咳をした。
  似た状況が何度かあると「私に何か言いたい事があるのかな?」
  等とこれもとても気になってしまう。

この段階では”病識がある”(~な気がする、~かも知れない等)
 場合が多いでしょう

 そしてこれらの”サイン”や”メッセージ”を自分に対するネガティブなもの
 (非難や否定・嘲り・攻撃等)として捉えてしまので、

 まるで「いつまたピストルで撃たれるかわからない」恐怖から
 自閉的になり

 益々そういったネガティブなサインやメッセージに対して
 敏感さを増してゆく

 同時にその意味がわからず頭が混乱し続け、
 過覚醒になり、夜も眠れなくなってしまったりする。

 この段階で”病識”は曖昧になり、幻聴等も出現する場合もあるでしょう

次回は
「統合失調症」「急性期」に多く見られる”症状”についてお書きします。


<次回へ続く>



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2023/3/15 (水)

統合失調症②症状の進み方

<前回からの続き>

前回は
「統合失調症」とは?についての概要をお書きしましたが、
今回からはその詳細をお書きしてゆきたいと思います。




①症状の進み方


症状の進行~回復・寛解へ至る、一般的な流れとして、


(1)前駆期


不眠、人が発する音や声・物音等に敏感になる、焦燥感・不安感が強まる
等の前駆症状がみられる

(この時期は、「~な気がする」等の”病識”がある場合が多い)


(2)急性期


・現実にないものがあるように感じる(幻覚:幻聴が多い)

・ありえないことを信じる(妄想)

・自分と他人の境界があいまいになる(自我障害)

感情が不安定になり、身体の消耗もみられる

等の、所謂”陽性症状”が多くみられ、
この時期の殆どの人には”病識”が無く
”気のせいではなくそれが本当に起こってるんだ”と信じ込んでる
のが特徴の一つです。


(3)休息期


感情の平板化意欲の低下


感情の起伏がとぼしくなり、無気力で何もしなくなったり、
いつも寝ていたり引きこもったりする等の、
所謂”陰性症状”が多くみられる


(4)回復期


徐々に症状が治まる

但し、記憶力や注意力が落ちたり
計画を立てたり効率よく物事をこなすことが難しくなるといった、
”認知機能障害”が現れる事も多い




次回からは、
「統合失調症」に特徴的な症状を
「前駆期」「急性期」「休息期」「回復期」に分けて、
より詳しくお書きしてゆきたいと思います。

<次回へ続く>



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2023/3/13 (月)

統合失調症①統合失調症とは?(概要)

「何度引っ越しをしても、マンションやアパートの隣の部屋の人が
 ずっと私を見張っている・・・。

 最初は私が何かをしようとする度に咳払いするだけだったが、
 今はわざと大きな声でぶつぶつ怒ったり、ドンドンと壁を叩いたり
 する様になった。

 きっと盗聴されたり隠しカメラが仕込まれている筈なので、
 大家や警察に相談したけれども相手にされない・・・。

 もうこんなんじゃあ、部屋でじっとしてるしかない!
 でも、”もう無理だ”と思ってまた引っ越しを考えている」

うちのルームにも「統合失調症」(昔は精神分裂病と呼ばれていました)
と診断を受けた方や、それに似た症状で苦しんでお越しになる方
もいらっしゃいます。

それでは、「統合失調症」とは何なのでしょうか?

今回はその「概要」をお書きします。




①統合失調症とは?

「統合失調症」は、多くは思春期以降~30歳代までに発症する事が多い
「精神病」と言われるものの代表的な疾患(約100人に1人の方が罹患される)で、

幻覚や妄想といった精神病症状(陽性症状)

意欲が低下し感情が出にくくなる等の機能低下、
認知機能の低下(陰性症状)などを主症状とします。

また、
特に幻覚や妄想が活発な時期(急性期)には、
幻覚・妄想が病気の症状だと思えなかったり

「これは自分の思い過ごしでは無く、実際に声が聞こえるんだ!」
とか
「(盗聴等)本当にそうされているんだ!」
等と
自分自身が病気であるとは考えなかったりする事が殆どです。
(本人に“病識が無い”と言います)

次回からは、その詳細をお書きしてゆきたいと思います。

<次回へ続く>



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2023/3/10 (金)

愛着形成と愛着の回路⑨愛着の回路を形成するヒント(4)

<前回からの続き>

前回お書きしたヒントを基に、
ご自分の中の”親の部分”が距離を保ったまま”子供の部分”の訴えを聴く事
ができれば、
「相互調整」に移ります。


以下、そのヒントをお書きします。




⑨愛着回路を(再)形成する(4)

(4)自分の”親の部分”(大脳皮質側)と”子供達の部分”(大脳辺縁系側)との間
 で相互調整してゆく

”子供の部分”の訴えを否定せずに共感的に聴く

「”怒りんぼちゃん”は、”寂しがり屋さん”が寂しがって泣いてたから
  助けてあげようと思って、あの人を叱ってくれたんだね?!」


その”子供の部分”に謝罪と感謝を伝える

「なのに私はあなたの事を否定してきた・・・今迄ゴメンね。
  そして、助けようとしてくれてありがとう。」


その”子供の部分”へ愛情表現をする

「そんな優しくて強い”怒りんぼちゃん”は私にとって大切な存在よ!
  今迄何度も妹達を守ってくれたんだね!」
 と(イメージで)肩をポンポンと叩く


その”子供の部分”の反応(感情・感覚等)を感じる

(そう言われてそうされてる”怒りんぼちゃん”はどう感じているのかな?)
 とイメージし、
「あっ、”怒りんぼちゃん”はわかってもらえたと感じて、
 表情も和らいで、肩の力も抜けてうるうるした目で私を見つめている
 ・・・」


E”子供の部分”の反応によって生じた自分(”親の部分”)の反応(感情・感覚等)
 を感じる

「この子の今の様子を感じて、私まで胸が熱くなってウルウルきちゃった
  ・・・」


F上記の「D」「F」を子供と親の”両方の部分”が落ち着くまで繰り返す

「私のこの様子を感じて、この子はどう感じてるかな?・・・
  なんか、”わかってもらえた”って感じて、
  笑顔になって抱きついて来た感じ・・・」
 ※その「抱きついてる感じ」と「抱きつかれてる感じ」を交互に感じます


Gその出来事に関わりのある全ての”子供の部分”に同様の相互調整を
 行ってゆく

(”怒りんぼちゃん”との相互調整が終わって)
  次は寂しがり屋さんとお話できる?」
 等と他の”子供の部分”に対しても相互調整をしてゆく。




以上、
愛着形成と愛着の回路についてお書きしてきましたが、このやり方は、
ほんの一例をお書きしたに過ぎませんので、その人に合った方法を
見つける必要があると思います。

「愛着回路の(再)形成」はかなりデリケートなものになると思われますので、
お独りでは難しい場合は、お気軽にご連絡を下さい



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2023/3/8 (水)

愛着形成と愛着の回路⑧愛着の回路を形成するヒント(3)

<前回からの続き>

前回お書きしたヒントを基に、
自分の中の「親の部分」「子供達の部分」それぞれに名前を付ける事
ができれば、

今度は、
それぞれの部分が一体化しない様に距離を保ち続ける工夫が必要
だと思います。


例えば、
母親が我が子の不安に巻き込まれてしまって、
自分まで不安になってうろたえてしまえば、
不安を和らげてくれる存在が居なくなります。

ですから、
「親の部分」「子供達の部分」の強烈な感情や感覚、思考に呑み込まれずに
距離を保ち続ける必要があります。


今回は、その為のヒントをお書きしたいと思います。




⑧愛着回路を(再)形成する(3)

(3)自分の”親の部分”(大脳皮質側)と”子供達の部分”(大脳辺縁系側)の
 距離を取る

何らかの引き金によって、
 身体的な変化(体の緊張・硬直、心臓がバクバクして呼吸が速くなる、
 頭が真っ白になる、言葉が出て来ない等)
 や
 感情の変化(不安・恐怖、怒り、悲しみ、寂しさ、無価値感、自己嫌悪、
 罪悪感・恥、希死念慮等)
 が生じた時に、
 「子供達の部分」の誰かが活性化したと意識しましょう。

そして”どの子”が出て来たのか?を感じ、考えてみます。

 例「私の中の”寂しがり屋さん”が泣き始めて、
   ”怒りんぼちゃん”が出て来てる」
 等々。


特定できた”その子”の訴えを聴きましょう

 例「怒りんぼちゃん、何を怒っているの?」

 ⇒「だって、私の妹の”寂しがり屋さん”が淋しいよって泣いてるのに、
  ママ(彼氏)は傍に居てくれないの。
  だから私がママに”何でこの子を放っておくのよ?!”って叱ってあげたの
  ・・・」

ここまでで大切な事は、

・”親の部分”は感情的・感覚的な”子供の部分”に決して巻込まれずに
 冷静に距離を取る事、

・”子供の部分”のどんな訴えも決して否定せずにちゃんと聴いてあげる事

だと思います。
(余裕があれば”子供の部分”の訴えを紙に書き出してみるのもいいでしょう)

<次回へ続く>



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2023/3/6 (月)

愛着形成と愛着の回路⑦愛着の回路を形成するヒント(2)

<前回からの続き>

前回、
(大人になってからの)愛着回路の(再)形成に必要な「相互調整」は、
「自分(のある部分)」「自分(の別の部分)」といった二者間で行う必要
がある
といった私の考えをお書きしました。


今回からは、その具体的な方法をお書きしたいと思います。




⑦愛着回路を(再)形成する(2)

(2)自分を”親の部分”(大脳皮質側)と”子供達の部分”(大脳辺縁系側)に分ける

”自分”を「自分(のある部分)」「自分(の別の部分)」の二つに分ける、
とはどういう意味なのでしょうか?


例えば、(架空の)A子さんは動物が大好きで、
いつもワンチャンの事を考えています。

「ワンチャンが淋しがるだろうから」と外泊は避け、
仕事が終わると真っすぐに帰って来てワンチャンと触れ合い、
休日はずっと一緒に居ます。

彼氏とのデートで家を離れる時は「ごめんね!」と抱擁して、
少し後ろめたい気持ちを抱えながら出掛けます。

そしてワンチャンが少しでも元気が無いと心配になり
あらゆる手を尽くします

ところが、彼氏に対しては・・・。

彼氏がラインや電話をマメにくれなくなったり、
「会社の飲み会があるから・・」と
デートを断ったくせに、彼のSNSをチェックしたら
宴会で職場の女性と楽しそうに盛り上がっている画像がUP
されていたりすると、

「なんで私の事を一番に思ってくれないの?!!」
「どうせ私の事なんて、大切だと思っていないんでしょ?!!」
彼氏にキレてしまう事を繰り返してしまいます。


上のA子さんの例では、
ワンチャンに対して主に出てきているA子さんの部分は
「理性的で愛情溢れた養育的な部分」で、

彼氏に対して主に出てきている部分は
「感情的に怒ったり拗ねたりしている子供っぽい部分」
と言えるでしょう。


この様に人は誰でも
理性的で養育的な「親の部分」(大脳皮質側)

感情的で保護や感情調整が必要な「子供達の部分」(大脳辺縁系側)
に、
(大きくは)分けられると思います。


そして分ける為には、
それぞれの部分(「親の部分」「子供達の部分」)に
アイデンティティーを付与する、つまり名前を付ける事が有効だと思います。

例えば、
「私の親の部分は、えっと・・・”A子ママ”で、子供達の部分は・・・
 そうだ!”怒りんぼちゃん””拗ね子ちゃん””甘えたちゃん”かな?」
等々。

<次回へ続く>



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2023/3/3 (金)

愛着形成と愛着の回路⑥愛着の回路を形成するヒント(1)

<前回からの続き>

今回からは、
幼少期に親(主養育者)との間で愛着が形成されずに、
所謂”愛着障害”や”アダルトチルドレン”になってしまい、

大人になってからも生き辛さや〇〇障害等といった、
メンタル不調に苦しまれている方に向けて、
愛着の回路を(再)形成するヒントをお書きしてゆきたいと思います。




⑥愛着回路を(再)形成する(1)

(1)自分の中で相互調整できる様になる事を目標とする

”愛着の回路”は、幼い頃の自分と親(主養育者)との間での
「相互調整」による、手続き記憶に基づいていると考えられます。

つまり
回路の形成には、二者間の身体的・心的な関わり(言語・非言語での)が必要
であると言えるでしょう。


ところが、
この関わりを成長してから親や恋人・配偶者等に求めても、
大人になったあなたに対して、
まるで乳幼児の様に付きっ切りで関わってくれる人はまず居ないと思います。

(それでも尚「私の気持ちをわかってよ!」「いつも傍に居て慰めてよ!」
 等と、”自分の思う通り”の反応を相手に求め続けると相手は離れて行って
 しまうでしょう)


ですから、
愛着回路の(再)形成に必要な「相互調整」は、
「自分(のある部分)」と「自分(の別の部分)」といった二者間で行う必要
があると思います。


だとすれば、
どうすればそれが可能になるのでしょうか?


次回から、その具体的なヒントをお書きしてゆきたいと思います。



<次回へ続く>



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2023/3/1 (水)

愛着形成と愛着の回路⑤愛着の回路は形成可能である

<前回からの続き>

前回、

「2~3歳までに、親(主養育者)との間で
 ”相互調整”が行われていなかった場合は、
 当然”自動調整”に繋がってゆく潜在的な手続き記憶がありませんので、
 成長してからも、不安・恐怖、怒り、落ち込み等に耐える力や
 自分で感情を調整する事ができなくなる」=愛着形成不全。

そして
「その状態で成長して行った場合は、様々なメンタル不調や〇〇障害
 に苦しんで、自分ではどうしようもない状態に陥り易くなる」
=”愛着の回路”が脳に無いから。

けれども、
「”愛着の回路”はいくつになってからでも形成可能である」
といった私の考えをお書きしました。

今回は、
”愛着の回路”が何故何歳になってからでも形成できるのか?
についてお書きしたいと思います。




⑤愛着の回路は何故形成可能なのか?

もし”愛着の回路”が、幼い頃の親(主養育者)との間での「相互調整」
による、手続き記憶に基づいているとすれば・・・。


例えば自転車に乗る事を例に挙げてみましょう。

子供が自転車に乗ろうと練習を続けると、
”乗り方”の手続き記憶にアクセスできる神経回路が脳にできる筈です。

言ってみれば”自転車回路”です。

ですから、
何年も自転車に乗っていなくて、久しぶりに乗ろうとすれば
”自転車回路”が働いて、昔の様に乗れる訳です。

一方、
子供時代に自転車に乗った事が無い人は、
大人になってからいきなりは乗れないでしょう。

それは、
その人に”自転車回路”が無いからです。

では、
子供時代に”自転車回路”が出来てない人は
一生自転車に乗れないか?というとそうでは無いですよね?

いくつになってからでも、自転車に乗る練習を重ねれば
”自転車回路”が出来て乗れる様になる筈です。


脳には神経回路を新しく形成したり、配線を変えたりする事ができる、
といった可塑性と言われる性質があるからです。

ですから、
”愛着の回路”も同様に、いくつになってからでも
作る事ができると考えられます。


だとしても、
「どうすれば”愛着の回路”を新たに作る事ができるのでしょうか?」

その為のヒントを次回からお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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